プロローグ

 

 これよりはるか昔、旧世界と呼ばれる文明があった。独特の言語『古代語』、技術を使い、世界は今よりも文明が発達していたらしい。

 しかし、それは、長く大きな戦争によって終焉を迎えた。

 その名残は現在<遺跡>として残っている。

 そして、いくつかはクリーチャーの棲家となり、その他は厳重な守りによって、今なお、何かを守りつづけている。

 その何かは、『記憶』と呼ばれた。

 

雨が降っていた。灰色の建物が並ぶ町並みに、暗い雲から灰色の水が流れ落ち、そのまま、灰色の地面へと衝突して音を立てる。

 雨のせいか人通りもまばらで、歩いている者は皆、雨具を持ち、下を向いて黙々と歩いている。

 そこを傘も持たずに歩いている黒コートの細身の男、見事な銀髪を後ろへとすき上げ、雨に濡れるのも構わずに少しうつむき加減に歩いている。

―――ドン

その男が、前から歩いてきた大柄な男にぶつかった。体重の関係で黒コートの男は弾かれるかと思いきや、男は何事も無かったかのように歩いていく。

「おい――まてよ」

 大柄な男が、男の肩を掴む。男が振り返った。

「――――――」

 男は一瞥を与えただけで、また前を向き歩き出した。

「てめぇ――――!」

 

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