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「C・Gが研究局になんのようですか?」
研究局の待合室で待っていたアーリィに、ドアから顔を出したシューが言った。
「つーか・・・」
アーリィが口を開く、シューは「何ですか?」という顔をした。そのまま、テーブルをはさんだ向かいのソファに腰掛ける。
「研究局にはお前しかいないのか?」
多分、いつ来ても会うのがシューだけだからであろう。アーリィがそんなことを言った。
「いえ、ちゃんと22人程いますよ。局長は、いつもいませんが・・・」
シューが、ふふと笑い、もう一度口を開く
「私が出るのは、あなただからですよ。C・Gのリーダー、アーリィさん」
「そか・・・」
そこまで話したあと、アーリィは足元に置いてあった包みをテーブルの上へと置いた。
シューがそれを見る。そして、アーリィの顔を見て
「これは・・・?」
「ん・・・それを調べて欲しいんだ」
「調べる」の言葉にか、シューの目の色が変わったように見えた。
「ちょっと拝見」
シューの手が包みに伸びた。そして、それを開く。
中には、昨日発見した何かの焼け残り。シューはそれを持ち上げる。
「ん〜・・・」
唸りながらしげしげと見つめる、
「詳しいことは、調べてみないと分かりませんが、繊維の一部だと思います」
「わかんのか?」
アーリィが問う。
「ええ、まぁ。酸化してますから、はっきりとは、見えませんが。戦闘服の物だと・・・」
「見える?」
アーリィが再び問いかける。
「まぁ、いいじゃないですか・・・では、詳しい結果が出ましたら、ご連絡しますんで」
そう言って、話を切り上げる。
「ああ、分かった。戦闘服か・・・調べて見る」
アーリィは言いながらうなづいた。
「じゃ、僕はこれで・・・・・・」
シューが立ち上がる。
「すまないな」
アーリィも立ち上がった。握手を求め右手を前に出す。シューがそれを掴む。
「いえいえ、まだ厄介な物はいくらでもあります」
「・・・そうか」
アーリィが少し笑いを含めた言い方で応じた。
北メインストリート、衣類を扱っている店が多い大通り。ただ、値段は裏通りよりは高い。まぁ、当たり前といえば当たり前なのだが。
「メインストリートに安い店ってあるんだな・・・」
グリードが、眼の前の店を見てつぶやく。
「うむ、今日は安いのだ」
アセンブラが、笑顔で答える。
「へぇ、じゃぁ俺見てくるから、アセはどうする?」
「う〜む、じゃぁそこらへん物色するのだ」
「よし、じゃあ・・・」
グリードが、少し混んでいる街中を見渡す。そして、通りには一定間隔で置かれている案内板を指差し。
「あそこで落ち合おう」
「OK。分かったのだ」
そして、二人はそれぞれの目的の場所に歩き出した。
「なぁ・・・」
「何よ」
「コレ・・・意味があるのか?」
「・・・あ、当たり前じゃない!こういうのは雰囲気よ。フ・ン・イ・キ!」
話をしているのはラスナとジュン。サングラスをかけて、店の隙間の影から、二人を見つめている。
今、話をしていることはサングラスについてである。知らない人が相手ならどうか知れないが、ラスナはいつものコートにバンダナ着用、ジュンはいつもの戦闘服にいつもの髪型、どう見ても効果があるとは思えない。
「そんなものか・・・」
「そんなもんよ」
「ん・・・?」
ラスナが二人を見てつぶやいた。ジュンも見つめる。
「分かれたみたいね・・・」
「ああ・・・」
「どうする・・・?」
「・・・」
ラスナが少し考える。
「ただの買い物だったようだな・・・」
「違うわ・・・」
ジュンが冷や汗をたらしながら言う、ラスナは無表情ながらも、多少驚いたような感じで
「・・・何?」
「きっと、アセが私達の尾行に気付いたんだわ・・・それで、油断をさせておいて後で落ち合うつもりなのよ」
「・・・・・・そうか、流石・・・」
ラスナは一旦言葉を切り
「なら、俺がアセを追う。尾行なら任せろ」
「あまり乗らないけど・・・頼りにしてるわよ」
「ああ」
「ふみゅう・・・」
店の外に置いてあるバーゲン品の服の山を発掘していたアセンブラが鳴いた。なかなか気に入った物が見つからないようだ。
さらに、発掘をするために山に潜りだした。
「あう・・・」
とうとう諦めたのか、きびすを返した。
その時、
「お嬢さん・・・」
「む?」
アセンブラを呼び止めたのは、黒髪の、長身で痩せた男。
アセンブラが、男のほうを振向く
「なに?」
「・・・え、あ」
男がうろたえる。話すのは慣れていない様だった。
「・・・すまない、人違いだ」
「ふむ・・・」
アセンブラが、不思議そうな顔で歩き出した。男は、ため息をつく。
「やはり、話すのは苦手だ・・・」
トントン―――
痩せた男の方を、誰かが軽く叩いた。
「誰だ?・・・!」
振向いた先に見たのは、バンダナをした目つきのきつい男。無表情でありながら、こちらを見つめている瞳の奥に、物凄い殺気と怒りを秘めていた。
「あの子に何のようだ?」
「ひっ・・・」
押し殺した声で問い掛ける。
「去れ・・・邪魔だ」
そう言って、男は彼を突き放し少女を追って街の中へ消えていった。
「ちょっといいっすか?」
獣人の男は、服屋の前で行ったり来たりしている金髪の戦闘服を着た女性を、呼び止めた。
「ああん?なによ?」
あからさまな不機嫌顔で、こちらを睨みつけた。その剣幕に一瞬たじろいたが
「え、ええと・・・ここら辺で情報屋って知ってるかな?」
その言葉に、金髪の女は眉をひそめた。
「はぁ・・・?あんたそれでも、同業者?そんなもん位自分で探しなさいよ」
「な・・・!この女・・・!」
ブォッ―――!
そう言った途端、黒い影が目の前に現れた。その影は赤い眼を不気味に光らせて彼を見つめている。金髪の女は、低い声で言う。
「あんた・・・もう一遍言ってみなさいよ・・・その首、粉々にしてやるわよ」
「ちっ・・・・・・わぁったよ。他を当たる」
彼なりに考えたのか、あっさりと引き下がる。騒ぎをおこしたくなかったのだろう。そのまま街の中へ消えていった。
「フン・・・」
そう鼻を鳴らして女は、店のほうを見る。
「あれは・・・?」
「ねぇ、グリードさん。こっちのはどうですか?」
「いや、いつものでいいんだけど・・・」
「良いじゃないですか。ちょっと位遊んでも・・・」
「遊ばないっす・・・」
店員と軽く会話を交わしながら、前着ていたものと同じ形の戦闘服を買う。もちろん、外でジュンが見張っていることなど全く気付いていない。
「そうそう、最近人通りが少なくなると、通り魔が出るらしいですよ。恐いですね」
「へぇ・・・恐いな」
「そういうこと、だからあまり遅い時間に一人で出歩かないように」
二人の会話を声がさえぎった。
「あれ?C・Gさんがどうしたんですか?」
店員が、声の方を見てきょとんとする。声の主はアーリィだった。
「いや、その通り魔関係の調査でね。焼けた戦闘服らしい物が落ちていたんでね」
それを聞いて、グリードが声をあげた。
「げっ・・・」
アーリィがそれに反応して、グリードの方を見る。
「ん?・・・あんたは確か、グリードだっけか」
「・・・ども」
グリードが小さく会釈する。
「なんか知ってんのか?」
「い、いや・・・じゃ、じゃぁ俺、用も済んだし帰るわ。金ココに置いとくぜ」
そう言って、手を振りながら出口へ向かう。
「は〜い、ありがとうございました」
店員がお辞儀をする。
アーリィが、小さな声でつぶやいた。
「黒髪に黒シャツ。素手・・・体格のいいハンターにも勝てる男か・・・この前の目撃証言と似ているな・・・」
「え・・・?何か言いました?」
「いや、なんでもない。邪魔したな」