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――――シンニュウシャノソンザイヲカクニン―――
―――タダチニ、ハイジョセヨ
「あわわわわぁ!」
アセンブラがはるか高みから地面へ向けてまっさかさまに落ちていく。
ドスンッ―――――
地面と衝突寸前、大きな身体に受け止められた。
「・・・」
「大丈夫か?」というふうに、顔を覗き込んでいたのは、ラスナだ。
「おお、ラスナ。ありがとう」
アセンブラが、ラスナに微笑む。彼は彼女を下ろした。「よっと」とかけ声を上げてアセンブラが飛び降りる。その少し後、
―――――ドゴォォォ
同じように降ってきたグリードが、轟音を放ちながら地面にめり込んだ。
フシュウゥゥゥゥ――――
白い煙を巻き上げている落下地点にアセンブラが駆け寄り、しゃがみ込んで
「あ〜。グリード?だいじょぶ?」
と聞くと。少し間を置いてから右手を上げて、ひらひらさせた。どうやら無事らしい。そこにラスナが近づいて来る。アセンブラがそっちを見る。
「あ、ジュンは?」
ラスナがアセンブラを見る。
「―――そこらへんにいるだろう。俺と同じくらいに落ちてきた。」
アセンブラがふむうと唸ってから
「でも、良く着地できたね。」
ラスナは少し間を置いて
「・・・法力を使った。」
「ほぇ」
アセンブラがあたりを見渡す。暗いので正確な広さはわからないが、かなり広い部屋だろう。
「アセちゃんも無事みたいね―――あの馬鹿は?」
暗闇の中から、ジュンが歩いてくる。
「・・・そこに埋まっている。」
ラスナがグリードのほうを顎で指した。
「何やってんのよ・・・」
ジュンが、深くため息をついた。後ろを向いて歩き出す。
「こっちに出口があるみたいよ。こんな辛気臭いとこさっさとでちゃいましょ。」
ラスナがうなづいて歩き出す。
「グリード、先行くぞ?」
アセンブラも立ち上がってそれに続く。
「―――ういぃ、しかし誰も助けてくれねぇのかよ―――」
グリードがブツブツと不平を洩らしながら、両腕を踏ん張って起き上がった。そしてコキコキとあちこちの骨を鳴らす。
今の彼に、背後に近づく紅い瞳の敵に気付く余裕は無かった。
「グリード、遅いなぁ―――まだ埋まってるのかな?」
アセンブラが心配げにしきりに後ろを見ている。
「――――アセ」
ラスナが唐突に話し掛けてきた。そして、彼女の小さな肩に手を置く。
「ん?何」
彼女が彼のほうを向く、ラスナが肩に置いた手に力をこめた。
「―――すまん!!」
「うおおおおお!?」
ブォンッ―――
そのまま一気に斜め後ろへ彼女を放り投げた。アセンブラが悲鳴をあげながら飛ぶ。その時、正面からラスナへ向かって黒い塊が飛んできた。そしてそれは、彼の腹に直撃し、一緒に吹っ飛ぶ。
「―――くっ」
ザザザザァァ―――
少し滑空してから落下、地面を2mほど滑り、止った。ラスナがその塊に話し掛ける。
「―――貴様、何のつもりだ?その石頭でアセを殺す気か?」
「あんたも投げること無いでしょ―――」
「――――」
ジュンが突っ込みを入れた。彼女はアセンブラを抱きかかえている。アセンブラは突然のことに目を回しているようだ。塊はグリードだった。
「いや―――すまん、でもこれには深い深ぁいワケが―――」
「とにかく―――さっさと離れろ―――重い」
「んああ、よっと」
ようやく離れ、グリードがそこにあぐらをかく、ラスナはすぐに立ち上がった。
「ふう、オレ最近ついてねぇなぁもう」
「で?アセちゃんに突っ込んできたワケって何よ?」
そう言いながら、ジュンがグリードを睨みつける。返答次第ではただではすまないだろう。
「ん〜―――」
「何よ?」
ジュンの目が更にきつくなる。ラスナがグリードの後ろを何気なく見た。
「――――!?」
ドゥッ――――!
重い銃声。
ガキィッ――――!!
銃声が轟く寸前、ラスナが大刀を抜き放ち、ジュンとグリードの間へ入った。そして、弾丸を弾き飛ばしたのだ。ラスナがつぶやく。
「そう、後ろのアイツに殴られたんだよ。失礼な奴だろ?」
グリードが言う。ラスナの一言でそれはあっさり無視された。
「・・・なんだ?アレは?」
暗い空間の中に、深紅の光点が一つ浮かび、その少し下。光点の位置が顔とすれば右腕の辺りから白煙が上がっている。
ガン―――
突然、音と共に光が辺りを照らした。思ったよりかなりの広さがある四角い部屋、部屋の四隅には大きめの穴。光点があった位置には―――
「ハルバード−弐式・・・かな?」
いつの間にか、目を覚ましていたアセンブラがつぶやく。そこに立っていたのは、灰色の金属光沢を帯びたスマートで鋭いフォルム、頭部には鋭い二本の角、右の銃器を腰だめに構えた人型の――――。
「何?それ・・・」
ガシャンッ―――
ジュンのつぶやきを、その音がさえぎった。アセンブラがジュンの腕から離れる。いつの間にか、左手に木の鞘を持っていた。自分の身長以上もあるソレを一体どこから出したのだろうか。
「とにかく、あ〜いうのは無視なのだ!」
「そうね、ああいうのは一体だけって事は無さそうだし」
「おし、走るぜ!」
ダダダダッ――――!!
爆音が響いたとほぼ同時、彼らの足元を銃痕が穿った。だが、既に四人はいない。
「あそこが出口!開けれる?」
ジュンが前方の壁を指差す。確かに、扉のようだ。
「まっかせるのだ〜!!」
アセンブラが他の三人の前に出た。そして、走りながら剣を構える。
キィィン―――!
扉の目の前にきた瞬間、彼女の剣閃が閃く。
「後はまかせろぉ!!」
グリードが、その扉の真ん中に飛び込む。そのまま勢いを殺さずにぶち当たる。
ドォォォン―――
扉は、瓦礫と化しグリードと共に前方へ崩れ落ちる。そこには長い灰色の通路、巡回していた赤い瞳のソレが一斉にこちらを向いた。
「さっきもこうすれば良かったのにな・・・」
前へ進みながらラスナがつぶやいた。
「一気に抜けるわよ!」
ジュンが叫ぶ。
ダダダダダ―――
機械たちの機関銃が彼らめがけて火を吹く。
キィィィン―――
「効かんな・・・銃など」
そう言いながらラスナが、当たりそうな銃弾を刀で弾く。
「ほぃほぃ〜」
アセンブラが、銃撃を交わしながら機械の群れに肉薄し、次々と斬り捨てる。
「喰らいつけ!」
ジュンの使い魔、セイブルが、その牙で機械数体を丸呑みにする。
「おぃおぃ、待ってくれよ。なんだ・・・あんた邪魔だな」
ガィンッ―――
言ってると、近距離で放たれた銃弾がグリードの顔に当たる。といっても、無傷なのだが―――
「いてぇ!こんの・・・!!」
ボゴォッ――
グリードの放ったアッパーが、機械の頭を空高く打ち上げる。彼はそれにも構わず、まだ目の前に突っ立っていた頭のない機械を突き飛ばして走り出す。
長い鉄色の廊下。
「顔はビビるからやめて欲しいんだよな・・・」