医療局を出て、渡り廊下を行くと、ハンターズタワーへと繋がっている。地上五階、地下二階。タワー一階には、研究局、受け付け(リセプション)、売店がある。地下一階には、駐車・駐輪場、地下二階には訓練施設がある。地上二階は食堂、三階からは行政局となっていて、低級のハンターは入ることも許されない。

 その一階の売店で、アセンブラは見覚えのある人影を見つけた。近寄って声をかける。

「ヴィクス・・・だっけ。何してるのだ?」

「ん?おお、アセ。奇遇だな」

 後ろを振向き、挨拶をする。ニコニコしながらアセの顔を見た。

「ほぇ・・・剣、探してるのか?」

「ああ、今使ってるのが、結構安もんでな、買ったばかりなんだが、もう切れ味が悪くなった」

 愛用の剣は、ばれるということで置いてきたのだ。

「ほぇ・・・」

 アセンブラは、ヴィクスに「にぃ」と笑って見せた

「それなら、ここよりいい店知ってるよ」

 その言葉に、ヴィクスが反応する。

「え?でも、聞いたらここが一番だって・・・」

 アセンブラは構わずヴィクスの服の袖を引っ張って

「知らない人はそういうんだって、いいから。ついてきて〜」

 引っ張りながら、地下一階への階段を降りる。

「お、おい。そんなに引っ張るなよ」

 迷惑そうに言いながらも、彼は少しうれしそうな顔をしている。

 

 ハンターズタワー五階、その中でも一番大きな扉から、ノックの音が廊下に響き渡る。

 扉の奥、部屋の中から、威圧感のある声がした。

「・・・入れ」

 ガチャッ―――

「何かようか?親父。オレはこう見えても、忙しいんだぜ」

 入った途端に、黒髪の右目に傷のある若い男はそう告げた。

 親父と呼ばれた男は、彫りの深い顔立ち、所々に白髪の混じった黒髪の、しかし老いたという事実を思わせない、だが同時に若い者には到底にじみ出せないほどの威圧感を放っている。

「勤務中は・・・市長と呼べ」

「へぃへぃ、シチョウドノ」

 市長は、眉をピクリと動かし

「昨日の警報の件聞いたか?」

 その言葉に青年はうなづく。

「ああ、珍しいもんだよな」

「どうやら、不思議な奴が一枚かんでるらしい」

「そりゃ・・・人間かい?」

 市長が首を振る。

「それは分からん・・・そこでお前に、昨日の事の手がかりになりそうな奴らに話を聞いて欲しい」

「あ〜、めんどくせぇ事は全部俺任せか・・・」

「・・・それだけ信用されてると思え。ジュニア」

「へっ・・・」

 

 第六区にある武器屋「BLACK DEVIL」は、闇からのルートで様々な掘り出し物を売買しているらしい。

「ここだよ」

「こ、ここか?」

 店の名前からして怪しすぎる。ヴィクスは二の足を踏んだ。

「うん、どうしたの?いくぞ〜」

「・・・あ、ああ」

 アセンブラに腕を引っ張られて中に入る。中は外の怪しさとは裏腹に、意外と清潔感が漂っていた。

「あら、いらっしゃい。アセちゃん。入院したって聞いたけど、もういいの?」

「うむ。たいしたこと無かったのだ」

 カウンターにいた金髪の女性が、こちらに歩いてくる。

 ふと、隣にいるヴィクスにきづいた。

「あら、アセちゃんの知り合い?・・・ハンターの人じゃないわね」

 ヴィクスが眼鏡をかけなおす。

「ええ、俺は観光客だ。なんだったら、ここらへんを案内してもらえねぇかな?そのあと・・・ゴフ・・・・・・」

 アセンブラの肘がヴィクスのわき腹に突き刺さったのだ。何故か目が据わっている。

 はっと、我に返ったようにアセンブラが謝る。

「あ・・・ご、ごめん」

「容赦ないねぇ・・・」

 アセンブラの頬が紅くなる。恥ずかしそうに「あう」と鳴いた

「へへ、気にしてないさ」

 アセンブラはパッと笑顔に変え

「そか、よかった」

「ええとぉ・・・」

 アセンブラが、金髪の女性の方を見る。女性の方は気まずそうに二人を見合わせている。

「そうだ、すまんすまん。えとね、この人はヴィクスっていうのだ。でね・・・」

 次はヴィクスの方を振向き

「えと・・・この人は、アリアさんっていうのだ」

「よろしくです」

 アリアが、ヴィクスににっこりと微笑み、お辞儀する。

「どうも」

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