3
ガキィッ―――――
黒い塊が、宙を舞う。
「ちゃぁ、かてぇ角だなぁ。研いだばっかりの剣が折れちまった」
先の折れた長大な剣の残骸を投げ捨て、ヴィクスはファイティングポーズをとった。
「なぶり殺しは好きじゃねぇんだぜ」
ゴォッ―――
巨体に似合わず速い突進を軽く跳躍でかわす。
「・・・フン」
ドゴォッ――――!
ヴィクスの飛び蹴りが、獣を前方に蹴り飛ばす。
そして、着地。そのまま、向きを変え身体をばねにして前に走る。
「おらよ!」
鈍い音と共に、ヴィクスの裏拳が獣の脇をとらえた。獣はなすすべも無く吹っ飛び、地面に転がる。
それを追いかけ、跳躍。
「とどめだ!」
ドゴォォォォッ―――
転がった巨体の腹に、鮮やかなジャンプギロチンが沈み込む。
獣は、断末魔をあげるも暇なく、息絶えた。
キィィッ―――
「・・・」
ラスナは、巨獣の攻撃を大刀で弾き、返す刀で一閃する。
ズサァッ―――
彼の刀が巨獣の腹を切り裂き、青い血を迸らせる。巨獣が傷みに声をあげるが、すぐさま高みからその爪を振り下ろす。
「遅いな・・・」
ラスナが後ろに跳躍し、手に持った刀に法力を込める。刀が緑色に薄く光り、その周りを幾重にも重なった風が舞う。
「竜の風・・・」
彼が、刀を下から上へ振り上げる。それと同時、
ヒュウゥゥゥゥゥ――――
巨獣の身体が、突然出現した竜巻に天高く持ち上げられる。
「終りだ・・・」
ゴォォォォゥ―――
竜巻がやむ、巨獣の身体が止まり、ゆっくりと、そしてだんだんと速く地面との距離を縮める。
タンッ――
ラスナが地面を蹴った、落ちてくる巨獣に向かって、超人的な高さを跳ぶ。空中で刀を真っ直ぐに構えた。
ドシュゥゥゥッ―――
彼の身体は、巨獣を突き抜け、巨獣の断末魔が遠くに聞こえた。ドサッという重い大きな音の後に、音も無く彼が降り立つ。
ラスナが、ついさっき串刺しにしたそれを感慨なさげに見つめる。
そして、ちらりと横を見、ヴィクスがもう一体を殴っているのを見る。
「・・・・・・ふん」
呆れ顔、そこに――
「危ないぞ〜」
「?・・・・・・!」
ズサァァァッ―――
とっさに、飛来物を後ろに跳躍して避ける。それは巨獣だった。おそらくアセンブラに投げられたのだ。
「いくぜ〜決めるのだ!」
アセンブラがこちらに走ってくる。左手を腰に当て、その持っている刀に手を添えるように右手を置いている。
「あの構え・・・」
ラスナがアセンブラを見つめる。巨体が、地を駆ける。
「お〜ぎぃ・・・!」
―――――――チィィィィン
小さな身体と大きな身体がすれ違う。鍔鳴りが辺りにこだました。
「霞『荒刺』・・・決まったのだ〜」
―――ブシュウゥッ―――
巨体が無数の傷跡から青い液体を霧のように噴き出しながら倒れる。
アセンブラが立ち上がる。
突如、場違いな拍手が起こった。
パン、パン、パン――――
「素晴らしいスピード、敵ながら惚れ惚れしてしまったよ」
ラスナが、身構え
「貴様・・・!?」
声は意外そうに
「ほう、覚えていたか。あのときの人間。あの女はどうした?」
「・・・ここにはいない」
そして、ラスナの目の前に、白い男がいきなり現れた。
「そうか、それは残念。しかし・・・」
バッ―――
白い男が両腕を高く掲げる。
「貴様だけでも!・・・・・・何!?」
「てや〜!」
白い男が後ろへと飛び退る、小さな影が駆け抜けた。
―――キン
「さすがに速い・・・だが・・・」
その時、男の長衣が割け、青い血が吹き出た。
「・・・!」
「本当にクリーチャーなんだ」
「ぐっ・・・」
斬れた部分を左手で押さえ、歯を食いしばる。
「・・・侮ったな」
ラスナがつぶやく。
「ククク・・・・・・確かに油断したようだ。ここは退かせてもらおう」
白い男はフッと消えてしまった。
「あんだよ、あっけないな。オイ?」
ヴィクスが、ぐるぐると肩を回す。
「むう、帰るか」
アセンブラが、う〜んと背伸びをする。
「そう・・・だな」
ラスナは武器をしまい、エアライダーへと戻る。
二人もそれに続いた。
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