第五章  『セカンド・ファイト』

 

「全員、そろったか?」

「多分、いるわよ」

 ギルドのリセプション前に集まったジュン、ラスナ、アーリィ、シューの四人。

 昨日、ジェイクに呼ばれたので押しかけようということだ。

「あれ〜?皆集まってどうしたの?」

 アセンブラが近寄ってくる。

「あら、アセちゃん。おはよう」

「おはよ〜。で、どしたの?」

「なんか、お偉いさんに呼ばれちゃったの」

 アセンブラは、丸い目を大きく開き

「ほぇ、怒られるの?」

 その言葉にジュンがくすくすと笑う

「大丈夫、怒られないわよ」

 アセンブラが分からないという感じでむうぅとうなる。ジュンは頭にぽんと手をおき

「じゃ、行ってくるね」

「おう、いってらっしゃい」

 ジュンが後ろを向いた。その時―――

 ウウウウゥゥゥ―――――

「・・・・・・!」

 クリーチャー侵入のサイレンが鳴り響いた。

『市街区にクリーチャー出現、ハンターは直ちに排除を行ってください。一般市民は、避難してください』

「なに!?」

 アーリィが携帯端末を取り出す。

「イブ!聞いてるか?」

 端末から声が聞こえる。

『はいはい、何でしょうリーダー?』

「出現したクリーチャーは、どんな奴だ?」

『えとえと、この前現れた奴とちょっと違うけど、人形ですぅ』

「よし、直ちに排除に・・・」

「・・・待て」

 ラスナがそれを止める。

「なんだ?」

「・・・人形がいるなら、それを出した奴らが近くにいるはずだ。今回は死体じゃないだろう。そいつらを叩くのが先決だ」

「さっすが、ラスナだな」

 アセンブラが誉める。

「なるほど・・・・・・」

『あのあの、どうするんですかぁ?』

「人形の他に、いる奴は?」

『市街区は人形だけですぅ』

「なに・・・!」

 ラスナが端末を取り上げる。

「貸せ」

「外には?」

『え?あ、あの・・・』

 いきなり声が変わったことに少女の声は戸惑ったようだ。

「都市の外にはいないか?」

『ちょ、ちょっと待ってください。今調べますぅ』

 ラスナが端末を、アーリィに返す。

『いましたぁ、全八体、大型クリーチャーの反応がありますぅ。街を四方から囲んでいますぅ。配置は北3、西2、東2、南1ですぅ!』

「8体か・・・よし、分かった。C・G全隊員は市街区の掃除に向かわせろ。イブ、リセプションまでこい」

 アーリィは他の4人を振り返り

「これで、戦えるのは五人だ。敵は八体、余るな」

 ジュンが慌てたように言う

「イブちゃんに戦わせるの?」

 それを聞いてアーリィが

「当たり前だ、あいつは強いぞ」

「心配・・・」

 その時、声がした

「おっす、俺も入れてくれよ」

「・・・あ〜、ここの駐車場で寝ちまったのか」

 ほぼ同時に現れた二人、それぞれグリード、ヴィクスであった。

 グリードは、訓練施設のところで寝てたのだろう。ヴィクスは寝ぼけて何故かここに来てしまったらしい。

 グリードを見てジュン

「あんた、今までどこに行ってたのよ」

「ちょっとね〜」

 アセンブラが挨拶をする

「おっす、グリード。ヴィクスも」

「お、アセ。なんかいっぱいいるなぁ。どうしたんだ?」

 ジュンが、ヴィクスに気付いて睨みつける。

「何よ、あんた?」

「うん?・・・げっ」

 ヴィクスが固まる。

「だぁかぁらぁ、だれなのよ?」

(何でこんなところにコイツが―――)

 アセンブラが紹介する。

「えとね、ヴィクスっていう人で、観光客なんだけど、強いのだ」

「へぇ、そうなの。でもなんか、私の嫌いな奴と同じ匂いがする」

 ヴィクスは、硬直をといて話し出す。

「ははは、まぁ、よろしく。あんたは?」

「ジュン」

 アセンブラが、他の者を紹介しようとするが、アーリィがそれをさえぎる

「時間がない。自己紹介は後にするぞ。これで、あんたを混ぜて七人か」

「リ〜ダ〜ぁ!きましたぁ」

 イブが走ってくる

「よし・・・」

「俺も混ぜろ」

 ジェイクが現れる。

「ちょうどいい、これで八人だ」

「ほぇ、誰?」

「後だあと」

 アーリィは言葉を切り

「時間がない、作戦を言うぞ」

 

「クククク、あの男と女は来るだろうか」

 街の外、高い外壁を見つめながら白い男が、笑みを浮かべる。

「今度は息の根を止めてやろう」

 

 全員が駐車場へと走り、おのおののエアライダーに乗り込む。

「つまり〜、一人一匹ぼこぼこにすればいいんだよね」

「・・・そうだ」

 作戦はいたってシンプルであった。

 まず、エアライダーでゲードまで突破し、一人が一体撃破する。

 北の三体は、アセンブラ、ラスナ、ヴィクス。西の二体は、ジュン、イブ。東の二体は、アーリィ、グリード。そして南はジェイクが担当する。

「突破するぞ〜。あ、アセより前に出ると危ないぞ」

 そう言って、エアライダーを起動する。

「どういうことだ?」

 ヴィクスが聞く。アセンブラは「にぃ」と笑い

「見てれば分かるのだ〜」

「わぁったよ。行くぜ」

「ああ」

 機体が、低空に浮かぶ、そして徐々に加速し出した。

「ごうごう!」

 地下駐車場の北ゲートから、三つのエアライダーが飛び出す。

 

西側。

「あ、あのぉ・・・乗せてはほしいんですけどぉ、ここはちょっとぉ・・・」

「あらぁ、いいじゃない」

「で、でもぉ」

 イブは、エアライダーの免許を持っていないので、ジュンのそれに乗せてもらうことになったのだが、座らされたのはジュンとハンドルの間であった。頭がジュンの鼻にあたって、くすぐったい。

「いいのいいの。セイブル、援護しなさい」

 ――――オォォォォォォ――――

 左腕の法珠が、唸り声を上げる。

「私も、法術で援護しますぅ」

「いいけど、セイブルには当てないでね」

「はぁい」

 そして、エアライダーは西ゲートへと加速した。

 

 東側。

「さぁて、行くぜ」

「ああ」

 二人とも初対面なためか言葉数が少ない。

「お前、名前は?」

「グリード。あんたは?」

「アーリィだ。まぁ、よろしく」

「ああ、よろしくな」

 そして、二つのエアライダーは東の出口を高速で飛び出した。

 

「へへ、久しぶりに暴れるぜぇ」

 ジェイクが、エアライダーのカヴァを取り外す。

 軽く調子をみて、機体にまたがった。

「これを使うのも、久しぶりだな」

 手にもっているものを持ち上げて、にやりと笑う。

「行くか」

 南側から、飛び出すのは副市長のエアライダーであった。

 

 北側。

 メインストリートは、人形で埋まっていた。手にはカギ爪のような形をしている。

「あははは、くらえ〜」

 バシュッ―――――

 アセンブラのエアライダーの側面から、ミサイルが発射される。

「すげぇな、改造してやがる」

「・・・ああいうのが好きなんだ」

 アセンブラを抜かないように、速度を落としていた二人が話す。

 ドォォォォン――――

 ミサイルが爆裂四散し、クリーチャーを消滅させる

「弾切れだ〜〜!」

 アセンブラが、速度を落とし、二人に並んだ。行け行けというサインを送る。

「よし、オートドライブ起動。突っ切るぜ!」

 ヴィクスが大剣を右手に持ち、上手くバランスを取って速度を上げる。

 ラスナは、軽く大刀を握り、法力をこめる。

 アセンブラは、後ろで待機、運転中のため法術を使うための集中が出来ない。自動操縦機能がないのだろう。

「オラオラァ!」

 ズサァァァァ

 ヴィクスの大剣が唸るたびに、道が開ける

「フン!」

 ゴォォォォ―――――

 ラスナの刀が、風の波を形成、残った人形達を吹き飛ばし、消滅させる。

「見えた〜」

 人形達の奥に見えるのは、街の外と中を結ぶ、鈍色の巨大な扉であった。

 

 ――――オォォォォオ―――

冷凍(リフリジレイト)〜」

 高速で移動するエアライダーに、タイミングを合わせて飛び掛ってきた人形が氷像と化し。そのまま、地面に打ち付けられて粉々になる。

「やるじゃな〜い」

「えへへ」

 イブが照れる。

 ジュンのエアライダーの前を彼女の使い魔、セイブルが先導し、人形を飲み込んでいく。

 黒い口から逃れた物は、タイミングを計って飛び掛ってくる。それをイブが仕留める。

「見えた!飛ばすわよ、しっかりつかまっといて!」

「は、はいぃ!」

 

 ピシィィィィ――――

 鉄色の鞭がしなり、人形は真っ二つになって消滅する。

 鞭は、徐々に短くなり持ち主の身体の一部、指へと変わった。

「変わった力だな」

 自動操縦(オートドライヴ)モードの状態で、剣を両手に持ったアーリィがつぶやく。

「まぁ、な」

「案外楽だったぜ、もう少しだ」

 

 キリリリリリ―――ガンッ

 柄のところに、長い鎖のついた剣が地面に突き刺さる

「くらいな!」

 鎖の末端、持ちやすくなっている所を握ったジェイクが、それに法力を込める。

 突然、突き刺さった部分から光の半球が膨張する。それに触れた人形はことごとく、その中心に吸い込まれるかのように消えた。

「決めるぜ!」

 その光球が四散、そこから生じた衝撃波は地面を走り、クリーチャーを飲み込んでいく。

「けっ、腕慣らしにもなんねぇ」

 鎖を引いて剣を戻し、ジェイクは迫ってくる巨大な扉を見つめた。

 

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