遥かなる道を求めて

実は小生、見た事も合った事も無い、そんな人物の一人、行基さまとはどんな方か、ここの行基さまとは、心の中の行基さま。あなたならどんな行基さまを想い浮かべるか。夢は遠く地平の彼方を駆け巡る。行基さま

黄色い大地に風が吹く。
白い台地に雨が降る
長く、長く続く荒野に独り行く、
荒れた大地に続く路。一人の僧がとぼとぼと、

「来たぞ、来たぞ。」
「何の事じゃ。」
「聖じゃ、聖じゃ。」
「ひじり?何の事じゃ。」
「はっはっはっはっは。」
「馬鹿ものめ。聖が判らんか。」
「喰った事が無いじゃ。」
「こりゃ良いわ。はっ、食い物じゃない。」
三十路半ばの墨染めの衣の後に、
童が二、三人。
老女が一人。百姓が五人。
可笑しな、可笑しな行列がやって来た。」
「あれ、あれは何事。」
「おう。都からやって来た行基様じゃ。」
「菩薩様じゃ。」
「何と菩薩様じゃ。」
「生き仏じゃ。」此れはすごい。
「野良仕事は明日じゃ。」
何やら可笑しな行列は、村の外れの道祖神の前まで来ると、
僧はくるりと踵を返した。
「はっはっはっは、皆の衆。如何致した。」
「菩薩さま。」
「聖様。」
「……。」
「よし、判った。」
突然僧は原っぱの、大地に座を組んだ。
すると、母者に縋り付く童のように、皆々擦り寄って来た。
「儂は何か話しとう成った。」
「聞くか。」
「有りがたや。」
「有りがたや。」
「語らってくれや。」
おもむろに僧は語り出した。
「……。」
何の話か、大分昔の事でのう、判り申さん。


天智天皇七年、行基様はお生まれになられたそうな。時は奈良の都の時代。ととさまは百済の血を引く末裔であられるとか。
河内の現在の堺の出であられるとか。

天智天皇、初め葛城皇子と称し中大兄、舒明帝の嫡子とか。
此の時代は災害、疫病が絶えず、勿体無くも、帝も大いに悩まれたとか。
我が國民は遥かいにしえより、帝も民も共に支えあい、の国柄であったそうな。
こんな苦難多き時代にこそ、一大事業が必要だったのかも知れない。

「おお、あれよ。あんなに雨が降りよる。」
車軸の雨が、ざんざと降りよる。

幾人もの人々が、土砂降りを避けようと、寺社の大屋根目指して駈けて来る。
「良く降りよる。」
「ああ。」
放心した様に一斉に降る雨を眺める。
「近所の婆さんが死によった。」
「又、流行り病かいの。」
「そうじゃ。」
「哀れよのう。」
「死ぬるも哀れじゃが、生きるも哀れよ。」
「ほんにのう。」
「医者にも行けん。」
「大変なご時世じゃ。」
「そう云や、聞いたかい。」
「何のこっちゃ。」
「聖どんが帰って来られたそうな。」
「そうか。行基さまか。」
「懐かしいぞ。」
「知っとるのかい。」
「名前をなぁ。」
「仕様も無い。」
だらだらと話して居る内に、東のそらから明かりが差して来た。


東の空に明るい陽がさしてくる。
沼地の脇の小道を一人の旅僧が行く。
七、八才であろう、童子が前を行き、後ろを歩き、
当て所も無く追て行く、
「童は名を何と申す。」
照れ臭いのか黙って居たが軈て徐に
「せい…。」
「家は…。」
「……。」
「嬶さんは。」
すると、突然両目から、溢れるものを見せた。
「そうか。」
其れだけで何も聞かなかった。
童子が前を行き、後ろを歩き、
当て所も無く追て行く。
軈て其れが
三人となり、九人となった。
「はても、如何したら良かろう。」
軈て僧は良し、とばかりに決意の表情で、
都の外れの尼寺へ向かった。
寺の門に控えた寺男にそっと合図をすると、
寺男が物知り顔で奥へと繋いだ。
やがて
歳老いたる尼僧が出て来ると、
「有り難い事じゃ、行基さま。」
後は問わずに童どもを、
尼寺へ引き承けた。
じっと後ろへ合掌の行基さまであった。
いつの世も童は、時代の宝ものであった。

怪しい紅蓮の陽に照らされて都は宵闇に沈んで行った。
彼方から野犬の悲しそうな鳴き声が聞こえて来た。
烏も鳴き乍ら寝ぐらに帰るのであろうか。
郊外の杜の近くに 一軒の荒れ家があった。
もう、人が住まなくなって幾年に成る事やら。
しかし、最近何やら人の住む気配がする。
深夜、仕事帰りの盗賊であろうか。
殺伐とした風体の男達が二人、
三人とどこからとも無く集まって来る。
「待て。」
頭らしい男がそう止めると仲間は訝しんだ。
「誰か居るぞ。」
身ぶりで「そっちへ回れ。」
と合図をすると。
二手に分かれて荒れ家の中を音も無く徘徊し始めた。

「ダ−ン、バラバラ。」
脅しの為か、天上の梁に釣り下げた荷物の紐を斬って落とした。
音を立てて何かが割れた。
屋敷の中は騒然となった。
部屋の中は囲炉裏の火で、ぼんやりと赤く浮き上がった。
「何だお前は。」
「はっはっは。坊主じゃ。」
「何しに。」
「済まん一夜の宿を貸してくれ。」
「何じゃ!」
「まあ、待て。坊主一人じゃ。邪魔には成るまい。」
「済まん。」
「坊主。判っとるな、儂等の仁義を。」
「はっはっは。坊主に浮き世の事は無縁の事。何も見なかったぞ儂は。」
「はっはっはっはっは。世慣れた坊主だ。」
「はっはっはっはっは。」

一夜の雨露を凌ぐ恩義に壮年の僧は心底感謝した。
そして暫く沈黙が続いた。囲炉裏の火がパキッと爆ぜた。
「時に、何で坊主に等成ったんじゃ!」
僧はくるりと頭にうでを回し、じっと天上の自在の止め具を見つめ、
「…。」                  「…。」                    「聞きたいか。」                「いやぁ、良い。」               「じゃ、語ろう。」隣の男がにやり、と笑うと「やれやれ。」僧は語る。
「儂は世捨て人だった。」「…。」
と、突然雨音がし出した。            「雨か。」何処やらで雨漏りの音がし出した。
「ちっ、来やがった。」
盗賊の一人が笑った。              「はっはっはっはっはっはっはっはっ。世捨て人とは良いや、儂も世捨て人じゃ。」            一同がわっと笑いころげた。           「はっはっ。坊主の儂が世捨て人なら、       盗人!いや、失礼仕った。」           「いいや。真実だ、構わん。」         「は、ご一同世捨て人とは驚いた。」       「心は同じで道は二つに別れた訳じゃ。」     「ふん。おべんちゃらは良い。」         「まあ、まあ。」                「さて、道は異なるが、同じ物が有るのをご存じか。」「ふん。人皆罪業深い、煩悩の塊じゃ、醜いもんじゃ。」                     「いやいや、さに有らず。皆み佛のお子じゃ。」  「はっはっはっはっはっはっ腹が苦しく…。     馬鹿を言え」「そうじゃ、瞞着じゃ。」       盗人共は詰まらぬ追従と思い
軽蔑や憎しみの目を向けた。           「はっはっはっはっ。」             「お前さん、そんな戯言を云って回って居るんかい。」僧はじっと周りを見回すと、頭を振った。     「盗人も仏の子と云った事が解せぬのか?」   「…。無理も有るまい。」すると一人が云った。  「何が仏なものか。」

「儂は人を何人殺めたと思う?」          一人が凄んで見せた。              「…知らん。」                 「儂は八州に名を轟かす大悪人じゃ。」      「はっはっはっはっは。」            「…こいつ笑い居った。」            「嫌な奴だ。」                 「はっはっは。小さい。実に小さい。」      「何だと!」激怒した小男の盗人が僧に手をかける処で、頭目が止めた。                「待ていや。殺すんじゃ無い。」         「坊主殺すと七代祟るぞ。」すると、       「恐きゃねえ。」                「はっはっはっはっは。」            「違いねえ。」                 「誰が何と云おうと仏弟子に嘘は無い。」     「ふん、聞きたくねえ。」             「…。」暫し沈黙が走った。            

「こんな話を知っとるか。」          「…。」                    「空家に風が吹き込んだ。其処に塵、芥が入り込んだ。」                    「ん。其れがどうした。」            「黙って聞け。」                 「一軒は清浄。もう一軒はゴミだらけの家。各々ゴミが入り込んだが、どちらが汚れて見えるかや。」   「何だと!」                「…。」                    「待てよ。」                  「清浄、綺麗な家にゴミが入ったらゴミが目立って汚い。」                    「元々ゴミだらけの家にゴミが入っても。」    「どうだって、良いじゃないか。」        「そう、どうでも良い。」            「其れがどうした。」               「一体何の事じゃ。」              「先程あんた、八州に名を轟かす大悪人と云ったが。」「それが何だ。」                「其れさ。」                  「己の悪行の限りに気付く…。」「…。」      「其れは、あんたの心が元々綺麗だからじゃ。清浄だからさ。」                   「…。」                    「我が身、心の不浄に気付くとは大したもんじゃ。」「ふっふん。瞞着じゃ。俺様を嘗めるんじゃねえ。」「待て待て、此の坊主の云う事は面白い。」

「矢張り、聞いて置こう。」「何です。」      「坊んさんの名じゃ。」             「ん。へっへ。」                「何ですが、坊んさんのお名は…。」        「はっはっはっはっはっは。」           「相当気に成ると見ゆる。」           「何の。」                   「行基と申す。」               「…。」                    「どうしたんじゃ。」              「聖じゃ。」                  「ひじりじゃ。」                 「な、何のこつじゃ。」             「ひじりも知らんのかえ。」            「いや〜良い。良いのじゃ。」           「坊んさんで良い。」              「い、今諸国を行脚為され。」           「ほう。存じて居るか。」            「洛中に何時。」                「さっきじゃ。」                「へぇ。」                    「お弟子さんは。」                「はっはっはっはっは。逸れてのう。」       「はっはっ。」                 「はっはっはっはっは。」            「どんなお旅で。」               「存じて居られよう。今諸国は、日照り続きで、あちらも、こちらも飢饉、流行り病で、地獄の有様。」  「盗賊雨後の筍じゃ。」              「…。」                     「帝がのう。」                 「おう。」                   「お痛わしや。」                「そう。」                    「万民を救わんと…。」             「おお。聞いたぞ。」              「何でも御仏をお造りに成られるとか。」     「天子さまの、ご悲願じゃ。」          「身の丈が山の様な巨きな御尊像じゃ。」      「こりゃ、大変じゃ。」             「そう。大変じゃ。」              「大事じゃ。」                 「しかし、何とか成らんもんじゃろうか。」     「何がじゃ。」                 「だから、山の様な仏様がのう。」        「そう。完成なさったら、洛内外は元より、八州を御仏のご威光が照らしよる。」            「十方世界光明遍照。」              「此処、洛内外は元より、八州光明遍照。」     「さて、八州に名を轟かす大悪人。」        「げっ。驚かすんじゃ有りませんぜ。」       「如何為さる。」                「如何って、何を。」              「ご布施じゃ。」                 「布施!そんな事聞いた事は有るが、其んなもの、儂等盗賊の掟には無えぜ!」             「はっはっはっはっは。」            「はっはっは。」                「此の坊んさん盗賊から銭を、お宝を盗りよる。」 「はっはっはっはっは。」            「此れは魂消た。」                「其れも、此れも、菩薩のお慈悲。帝のご悲願達成まで、」                      「…。」                     流石、八州に名を轟かす盗賊もこの「聖」の巨きさには心底舌を巻いたようであった。

「儂等盗賊も罪深いが、盗賊から巻き上げるのは又罪よのう。」                    「へっ、坊主のやる事か。」           「はっはっはっはっはっはっはっは。」      「良く笑うよ。」皆苦々しげに僧を見つめた。   「男も、女も、百姓も、坊主、盗賊も、       御仏からご覧に成れば、同じ河原の蛙共。      罪深いのは同じじゃ。…徳を積まれよ。」     「ふん。儂等のお宝は穢れて居るぞ。」      「はっはっはっは。お宝はお宝。          穢れて居るのは心じゃ。」「…。」        「其の心を浄財喜捨で浄め給え。」        「あ〜仏心が湧いちまうぜ。」           強面の男が云った。               「此の坊んさんには叶わんよ。」          すかさず「其れでは、雑炊をもう一杯。」     「はっはっはっは。」              「呆れた。」                  「こりゃ、参った。」               「儂等の上手を行きよる。」            すると頭目が云った。              「これ、小僧お前どうした。」           一番の若者が云った。              「お頭。」                   「何じゃ、涙じゃないか。」           「お頭お願いじゃ。」              「何じゃ出し抜けに。」すると、          「お願いじゃ。」                「云ってみろ。」                「俺を此の坊様の弟子にさせて呉れ。」       「えっ。」                   「はっはっはっは。」頭目が上を向いて、     「今日は嫌な一日だった。」           「お宝ばかりか、子分まで離れて行く。」      と嘆息した。「お頭。」             「勝手にしろ。良いのか行基殿。」        「儂は構わん。」                「畜生。食い扶持が減るぞ。」          「拙僧は構わん。」すると、           「けっ、儂は寝るぞ。」              ぼろ家の外は更に雨脚が強く成った。
驚く事に、                    翌朝の行基様の一行は七人に増えて居たとか。
「えっ。頭が…。」               「はっはっはっは。」               「はっはっは。」

低金利でお得なローン探し 過払い金の回収ならこちら 過払い金の回収ならこちら
[PR] | 派遣会社墓石貴金属 買取ハウスクリーニング韓国食材インプラント転職サイトSEOアクセス解析ハウスメーカーレンタルオフィスSEO対策消費者金融不動産担保ローン時計車 買取ハワイ挙式バイト転職生命保険テンプレート沖縄旅行動画免許合宿二輪引越し消費者金融税理士ゴルフ会員権留学レーシックマッサージFX投資信託くりっく365アフィリエイト育毛剤FXホームページ制作デイトレードFXタイバンコクハワイ レンタカーベスト ハワイ ホテル レーツバリ島年末年始ハワイHawaii hotelsHawaii Activitiesbhhrホノルルマラソン
【運営会社「パラダイムシフト」サービス】 ハワイ現地オプショナルツアーリラックマ) - ビジネスクラス航空券 - 格安航空券(1) - 格安航空券(2) - 海外ホテル - 韓国旅行
無料ホームページ作成 - レンタルサーバー - 携帯ホームページ - ブログ - ホテル 予約 - タイムシェア - ヴィラ - ハワイ コンドミニアム - バリ島 ホテル - ハワイ 不動産 - プーケット ホテル