| 気の早いクリスマスキャロル.その13-01 街はずれに一人のスノウマンが住んでいた。勿論彼は大の暑さ嫌い。では夏の間はどうして居るかって?彼は街はずれの冷凍倉庫で冬眠するって話しを街の古老から聞いたよ。 ま、季節労働者みたいなものか。 昨日も、秋風の中で、ダウンジャケットを着込んで居たよ。何かの間違い?いいえ、体温が上がらない様にダウンを着ているのさ。その時小鳥が云った、「ねえ君、聞いたかい。」 「何だね青い鳥君。」「クリスマスのイヴの日迄に、何か三つだけ良い事をすると、」「うん、うん。そうすると。」「願い事が叶うって。」「そりゃ、好い事を聞いた。皆に知らせなくちゃ。」青い鳥は夢中で飛んで行った。街には多くの人々が行き交います。残念ながら小鳥達の話し声は、人間には聞こえないものなんです。ところがスノウマンだけは別です。彼は人間ではありません。あっ。彼には聞こえた様です。「ニタリ」と笑って向こうへ歩いて生きました。彼は一体何を考えて居るんでしょうね。 |
気の早いクリスマスキャロル 昔こんな話を思い付くまま書き止めました。その続きです。 この日は朝から雪が降り続いていました。遥か北の國のこの街では、何処の家でもみな、家を浄めツリーを飾りつけては、久々のサンタさんの来るのを待っています。外では子供達が雪を集めて、家を作ったり、アーチを作ったりして遊んでいます。街の外れに大きな水車小屋が有りました。小屋の周りは寂れて、ひとっこ一人居ません。おや、窓から灯りが見えました。誰か居るのでしょうか。居ましたよ。三人の魔女が。大きな魔女がゲーラ、太った魔女がリノ、ちびっ子の魔女がセラ。みんな不機嫌な顔をしていますよ。「なんてこったい。到頭今日の日がやって来たよ。」「お目出度く無いね。」「そんな事お言いで無いよ。人間達の年一回のお楽しみじゃないか。」その時。「ねえ、何か聞こえなかったかい。」「風の音だろう。」「歳だねえ、聞き違いだよ。」「いや、そうだよ。何か聞こえるよ。」三人は良く耳を済ましてみました。「こっちだよ」ゲーラが小屋を飛び出しました。「おっと忘れ物」そう、箒を忘れちゃいけません。三人は箒に跨がるとあちこち、雪の降る中を飛び回りました。「あれだよ、あれ。」セラが見つけました。それは何かと言うと、街はずれの倉庫の軒下に、一個のバスケットが置いてありました。「何だ、人間の子じゃないか。放っとこ。」「そりゃ、ないよ。いくら魔女だって人間の時のハートのかけらが少しは残っているだろ。」「そりゃそうだよ。いつ人間に戻れるか。最後の望みの綱さ。」「ま、可愛いじゃない。」「そうね。」「連れて帰ろう。」三人は赤ん坊をバスケットごと抱えると、街はずれの水車小屋へと運んで行きました。三人は赤ん坊にミルクをやるやら、着替えをさせるやら大忙し。とうとうその日の十二時になりました。「ああっ。」リノどうしたのだい。「何か胸が張り裂けそう。」するとゲーラもセラも三人とも体が変です。「胸が苦しい。」「助けて。」その時暗い水車小屋の上の方から明るい光が差して来ました。「お前達の 優しい心のせいだよ。」「今、お前達の望みが叶ったのだ」「人間に戻ったのだよ。」朝になりました。水車小屋は跡形もなく消え、そこには小さな農場が三軒並んでいました。夕べの事は三人の魔女。いや三人へのプレゼントだったのでしょうか。 |
《と、此処までは世間に良くある話でして、》 三人の魔女の切なる願いは突然叶い、真人間になれました。しかし、人間社会はそう単純には出来て居ませんでした。三人は人間になれ、大喜びでした。そこで、村の人も呼んでお祝のパーティを行いました。其処までは良かったのです。三人には小さな農場と家を与えられ、喜びの数日がすぎました。処が元魔女にとって、人間らしい暮らしは堪え難いものでした。三人に授かった赤ん坊は、それはもう、元気で良く育ちました。しかし其の育児の世話は、三人にとって並み大抵の事では無かったのです。さらに大変なのは子育てに夢中になって居る内に、農場は草ぼうぼう、誰も手入れをしないので、元の荒れ野に戻ってしまいました。おしまい。「ちょっと待ってくれよ、そんな筈は無いだろう。其処を何とかして呉れるのが神様だろう。」………………… あ、新しい情報が入りました。 三人は荒れ果てた農場の井戸端で、額を寄せあって云いました。「もう、人間を辞めようか。」「……。」三人は泣き暮らしました。三人遠くを眺めながら黙然として居ますと。「人だ、誰だろう。」一人の旅人でした。長い衣を纏い、髪と鬚を長く伸ばしていました。それは若い爽やかな表情をして、人の魂を読み尽くす様な、吸い込まれる様な目でした。行者でしょうか。ふと、三人に気付かれ、近付いて来ました。「其処の井戸の水を一杯くれんかね。」「………。」一人が無言で水を汲み、捧げました。「ありがとう。何か悩んで居るらしい。」「あの…。突然ですが。聞いて下さい。」「云ってごらんなさい。」「私たち三人は、昔、三人の魔女でした。でも、人間に成りたくて、或時神様に願いを叶えられ、漸く人間になれたのです。」旅人は、にこりと笑うと「それは良かった。」「でも、本当に人間に成る為には、其れだけでは駄目でした。」「其れで…。」「私たち三人はどうしたら良いのでしょうか。お救い下さい。」すると旅人は云いました。「はっはっは。何も悩む事は無いでしょう。既に人間なのだから、其れに感謝しなさい。」「子を育み、額に汗して田畑を耕す事は、とても愉しい事だと知りなさい。それは苦を超えなければ分かりません。」「体を使い、愛情を注ぎ、知恵を働かせなさい。」「きっと、充たされるであろう。」太陽は暑い日射しを燦々と投げかけて来ました。旧い井戸端の木陰で、三人は眼を醒ましました。 |
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気の早いクリスマスキャロル.その13-02 スノウマンがある日歩いていると、街では何か大騒ぎをしています。サイレンが鳴ります。野次馬のスノウマンなんて居るんですね。 |
え〜〜旧い奴だとお思いでしょうが、小生の旧いネタを見つけました 七月のある未明の朝、ジム少年は異常な物音で目覚めた。その時窓から遥か上空より真っ赤な火の玉が落下して来た。ドッカーンと云う爆発音と共に真白な閃光が走った。ジム少年はベットから飛び降りると、両親の部屋へ行った。しかし昨夜は特別な日で両親の結婚記念日で、二人は帰らない事になっていた。「ママー。」昨夜の両親との約束を思い出したジム少年は、仕方なく上着を着て外へ出てみた。町外れのジム少年の家からは森が見えた。その森の切れ目の草地に何か大きな物が、墜落した様であった。恐る恐る近づいて見ると、何と二本足で歩く無気味なエイリアンがあちこちを探査していた。思わず目に入ったエイリアンの宇宙服の胸に奇妙な文字が記されていた。シャープな線で『NASA』。 |
気の早いクリスマスキャロル.その13-01 ある日の午後街の外れにある坂道をお婆ちゃんが、荷車をたいへんそうに、ひいていました。「よいしょ、こらしょ。」「よいしょ、こらしょ。」そこへ通りかかったのは、スノウマンでした。「ねえ、手伝おうか。」するとおお婆ちゃん、スノウマンをじろりと眺め。「いらんよ!」ああ、繊細なハートを持ったスノウマンは、もう、何も言えません。がっくりと両肩を落とし、(30センチ位かな。)とぼとぼ、紅い夕日を背に帰るのでした。ところが…お婆ちゃんは、内心(悪い事を云ったと、痛く反省し)「ご免よ、スノウマン。助けておくれ。」さあ、スノウマンの喜んだの、なんのって。汗水垂らして「えっさかほい。えっさかほい。」ところがスノウマンは何か大切な事を忘れていました。そうです。スノウマンの体は雪、つまりじゃ、成分はH2Oだっったんじゃ。「こりゃ、えらいこっちゃ。」スノウマンは何か、いつもと違うのを感じました。「何だろう。」そして、あしたあり、夕べありき。お休みなさい。 |
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気の早いクリスマスキャロス.7 十歳の少女けいはベッドの中でした。或日けいはお母さんと約束をしました。早く元気になったらピアノを弾かせてくれると。ピアノは、けいの夢でした。「けい。お医者さまですよ。」三日に一度お医者さまのケント先生がやって来ます。「お早う、けい。」「お早う、ケント先生。」「元気かい。ちょっと熱を計ろうね。」その時、けいは「ねえ、先生。私、いつになったらピアノを弾けるの。」「……。そうだね。早く元気になろうね。」「いつもの先生の答えでした。」やがて秋になりました。最近のけいは、独りベッドで祈って居ます。「神様どうか私にピアノを弾かせて下さい。」戸のすきまから、お母さんは、けいの祈りを聞いて居ました。「神様どうかあの子にピアノが弾ける日が来る事をお願いします。」やがて十二月になりました。ある晩けいが寝て居ると、窓から金色の月の光が差し込んできました。「けい、起きなさい。」けいが、驚いて起き上がると、金色の光に包まれた天の使いでした。「あなたは…。」「ピアノの精マイエル。」さあ、こちらへお出で。「ピアノを練習しなくちゃ。」「えっ。良いんですか。本当ですか。」「もちろんですとも。」マイエルはにっこりと微笑んだ。「今夜は『ノクターン』の練習ですよ。さあ。教則本を広げて」「でも、私弾いた事無いんでもの。」するとマイエルは「何も覚えてないのね。」いつも貴女は夢の中で弾いているじゃない。けいは、恐る恐る鍵盤に手を近付けると、何とピアノのキーの上を両手の指が踊り出すじゃ有りませんか。「さあ、『ノクターン』の始まり。」さて、けいは夢中で弾きました。ピアノの音色は透明で、七色の色彩を放ち、部屋中に響き渡りました。奥の部屋に寝て居た、けいのお母さんは驚きました。でも何よりも驚いたのは、けい自身でした。あんな夢だったピアノが、しかも大好きな『ノクターン』が、こんな素晴らしい音色で弾けるなんて。いよいよ、最後の章になり、余韻を残しながら、ピアノは鳴り止みました。其の日は十二月二十四日。そう、クリスマスのイヴの晩でした。あんなに幸せそうな、けい。今でも生きているような薔薇色の頬。あ、どこか、聞こえます。クリスマスキャロルが。こんなプレゼントもありました。 |
気の早いクリスマスキャロル05 東のそらが、やや白んで来るころ、独り疲れ果てて、やって来る人が居た。「どうしました。」「……。」「お連れはどちら様で。」くるりと振り向くと、立派な角を生やした生き物に声をかけた。「ぽち、いや、赤鼻くん。ご苦労だったね。」此れも疲れた足を引きずる様に、「いつもの事です。」「しかしだね。儂が十五年過労で引っ込んで居る内に、世間は随分遣り難くなったもんじゃ。」隣のトナカイが小父さんの肩を労る様に「ま、元気に来年も頑張りましょう。」二人の様子にそれとなく察した私は「ああ、サンタさんね。」「そう。」「暫く来ない内に煙突が減ったね。」「そうそう。」「最近はドアもオートロック」「窓も二重ロック。せちがらいね〜。」「一体どこから入ったらいいんじゃ。」「プレゼントの山じゃ。…」「ま、気を落さず。」「皆さんそんな訳でこのサンタさんと、トナカイさんは本物だと云う訳で、皆さんに今日はお裾分けと云う事です。」皆喜んだのなんの。 |
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