司会「傍聴の方から一寸ご質問がございますが。吉原様宜しいでしょうか。」
吉原「構いませんが、どの樣なご質問でございましょう。」
傍聴者「突然失礼致します。只今拝聴致して、私未熟者で、未だ釈然としないものが有るのですが。」
司会「どの様なご質問でございましょう。」
傍聴者「え〜、三島先生が何故、決起なすったか、愚鈍な私、正直申して未だ理解出来ないのです。」
吉原「あっ、そうですか、ご無理もございません。当時、先生が決起なされた時も、或有名な評論家が『三島はクーデターをしようとしたんだ。』と得々と語る評論家が居ました。三島先生の心を全く理解して居なかったんですね。」
関谷「そう云えば義挙以前、安保闘争等も相当激化した頃、三島先生も其れを考えた事も有ったらしい。」
吉原「そう、しかし三島先生は作家の前には、大蔵省の優秀な官僚としてお勤めになり、日本の政治がクーデターをしても、そう易々と国家体制が変わると考える程、甘い思考はお持ちでは無かった。」
大林「そんな混乱した時代。どうして日本の國體(天皇を中心とした国柄)を守るか真剣に考えられた。」
吉原「その結果お作りになったのが、“盾の会”ですね。」
関谷「そうそう。」
吉原「三島先生はその為に、誰にも頼らず全て私費で、盾の会を運営された。」
吉原「そうして行動を実のあるものにする為、四十代の先生は盾の会の若者達と自衛隊の相当厳しい訓練を受けられた。」
吉原「其の中で“激”に有る様に、『現代の日本の中で打算の無い、真の日本男児生き方を学び、真の男の涙を知った。』と有ります。」そして、其の愛すべき自衛隊の、愛すべき自衛隊員に、真の日本の武士として、命がけで國を守る、気概を持って欲しかった訳です。
口先だけでは人間の心は動かない。命を捨てなければ、其の本当の心は判ってもらえない。
関谷「生命を捨てる時、生命が生き、肉体生命を守る時、彼の生命の死となる。」
大林「死生観の違いですな。」
吉原「彼の行動学は厳然として有り、実行された。言動に偽り為し。です。」
関谷「自衛隊員に、日本国民に、政治家に。真の気概を持って欲しかった。其れが真実ですかね。」
第一部に(次号へ続く)と有り、其の侭続きを示さないのも余りにも誠が無いので、此処に加筆致しました。
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