笑いは人生の調味料だったそうで

占い師:あんたそんな処で何してます。
  男:はい、先生。
占い師:あんたに、そんな先生なんて云われる覚え有りません。どないしてんねんか。
  男:はい。一寸、迷ったものですから。
占い師:そんなら、表へ行きなはれ。交番があるよって。
  男:そんなんじゃ有りません。
占い師:何ね。
  男:道に迷って。
占い師:じゃから、表に…
  男:そなん、云わんといて。
占い師:あんた、関西人かイ。
  男:いや、しゃきしゃきの江戸っ子でぃ。
占い師:ほー、東京生まれかい。
  男:生まれは東北です。
占い師:……。
  男:あの。
占い師:わかっとる。其処へすわんなさい。
  男:え〜〜〜何だか忘れてしもうた。
占い師:やっぱり、関西人?いや、冗談。
  男:私は悩んでいます。
占い師:何で。
  男:何で私生きているんでしょう。
占い師:息しとるからや。
  男:からかわんと。
占い師:あんたな、一人で生きてるのと違うよ。
  男:そうでっか。
占い師:人間は生まれて何か、人様の為にお役に立つ為に生まれて来とるんじゃ。
  男:只息するだけじゃ生きて居るとは言えませんよね。
占い師:そうじゃ。わかっとるじゃないかい。
  男:あの。
占い師:わかっとる。其処へすわんなさい。
  男:え〜〜〜何だか忘れてしもうた。

むかし、或所にお爺さんがおりました。お婆さんも居るんですが、今日は体調が悪くて、お爺さんが川へ行きました。道々人に合うのが、きまりが悪いとかで、裏道をこそこそ行きました。仕方なく川で洗濯をしていると、何やら流れて来ます。「あれは何じゃ。…空の《たらい》かいな。」「なんじゃ詰まらん。」仕方なくまた川で洗濯をしていると、何やら流れて来ます。「あれは何じゃ。…只の《瓜》じゃないか詰まらん。」其の時、お爺さんに戦慄が走りました。「あっ。桃じゃ。」あれは、曾お爺ちゃんが何やら言っておった。これは逃さじとばかりに一生懸命追いかけました。川岸は起伏に富んで、お爺さんは何度も転びそうになりました。気丈にも一里も行くと、隣村のお婆さんが川で洗濯をしているのが見えました。ほっとしたのも束の間。途中で川は二又に分かれていて、到頭お爺さんは川を渡れませんでした。「お〜い。其れは儂の桃じゃ。」しかし悲惨にも隣村のお婆さんには聞こえませんでした。当の隣村のお婆さんは「あれま、何と言う見事な桃じゃ。」あの伝説にはこのような悲話があったのです。

この日は朝から雪が降り続いていました。遥か北の國のこの街では、何処の家でもみな、家を浄めツリーを飾りつけては、久々のサンタさんの来るのを待っています。外では子供達が雪を集めて、家を作ったり、アーチを作ったりして遊んでいます。街の外れに大きな水車小屋が有りました。小屋の周りは寂れて、ひとっこ一人居ません。おや、窓から灯りが見えました。誰か居るのでしょうか。居ましたよ。三人の魔女が。大きな魔女がゲーラ、太った魔女がリノ、ちびっ子の魔女がセラ。みんな不機嫌な顔をしていますよ。「なんてこったい。到頭今日の日がやって来たよ。」「お目出度く無いね。」「そんな事お言いで無いよ。人間達の年一回のお楽しみじゃないか。」その時。「ねえ、何か聞こえなかったかい。」「風の音だろう。」「歳だねえ、聞き違いだよ。」「いや、そうだよ。何か聞こえるよ。」三人は良く耳を済ましてみました。「こっちだよ」ゲーラが小屋を飛び出しました。「おっと忘れ物」そう、箒を忘れちゃいけません。三人は箒に跨がるとあちこち、雪の降る中を飛び回りました。「あれだよ、あれ。」セラが見つけました。それは何かと言うと、街はずれの倉庫の軒下に、一個のバスケットが置いてありました。「何だ、人間の子じゃないか。放っとこ。」「そりゃ、ないよ。いくら魔女だって人間の時のハートのかけらが少しは残っているだろ。」「そりゃそうだよ。いつ人間に戻れるか。最後の望みの綱さ。」「ま、可愛いじゃない。」「そうね。」「連れて帰ろう。」三人は赤ん坊をバスケットごと抱えると、街はずれの水車小屋へと運んで行きました。三人は赤ん坊にミルクをやるやら、着替えをさせるやら大忙し。とうとうその日の十二時になりました。「ああっ。」リノどうしたのだい。「何か胸が張り裂けそう。」するとゲーラもセラも三人とも体が変です。「胸が苦しい。」「助けて。」その時暗い水車小屋の上の方から明るい光が差して来ました。「お前達の
優しい心のせいだよ。」「今、お前達の望みが叶ったのだ」「人間に戻ったのだよ。」朝になりました。水車小屋は跡形もなく消え、そこには小さな農場が三軒並んでいました。夕べの事は三人の魔女。いや三人へのプレゼントだったのでしょうか。

「恋は盲目・油断大敵」
昔エーゲ海にモラタと言う小島があったらしい。島にはイナ姫という美女が住んでいた。或日の夕方、隣の島で用事を終えたイナ姫の小舟の前の水面が泡立ち、水飛沫を上げて、表れたのが巨人であった。「儂はエーゲ海一の巨人である。ん。誠姫は美しい。妻にしたい。」余りにも巨大な相手の申し出に姫は断り切れずに言った。「一つお聞き致します。貴方の魔力で何にでも変身できますか。」思わぬ問いに。「容易い事。」「では、巨象になれるかしら。」すると巨人は瞬く間に巨大な白象になった。「では、一羽のペリカンになれるかしら。」瞬く間にペリカンになった巨人は調子に乗って。「次は何だい。」姫は「一枚のカーペットには、なれるかしら。」瞬く間に一枚のカーペットになった。姫はすかさず、カーペットを尻の下に敷いてしまった。という嘘の様な惚けた話しです。

昔、支那の中原に季好という男が居った。乗馬の名手でその速さと云ったら、疾風の如しとは、この事を云ったのであろう。村の若者の人気者であった。或日村に馬商人がやって来た。商人の持ち馬に真っ黒な駿馬が居った。目は星の様にキラキラ輝き、毛並みは鋼のように硬く、足は野鹿の様に敏捷であった。しかし、その性格は一筋縄には行かない代物であった。怪我をするといけないので、商人も決して手を出さず、群れから離れない程に見守っていた。商人の馬は良く売れたが、この馬T黒龍Uだけは売れなかった。それをじっと見続けている男が居た。勿論、季好であった。やがて堪えられなくなった季好は、馬商人に云った。「売ってくれんかね。」「どのうまじゃ。」
「勿論、あの黒いやつさ。」商人はあまりの事に呆れ果てた。「そいつは、止しといた方が良い。儂が請け合うよ。だが、どうしてもと云うなら、銀二枚で好いさ。」「よし、買った。」商人は複雑な表情をして居たがT黒龍Uに心を惹かれた季好は後先も考えず譲り受けてしまった。「良いのかい、儂は知らんよ。」さあて、どうなる事やら。馬商人は季好の腕前をとくと、見てやろうと眺めていた。広い原野で季好とT黒龍Uの対決が始まった。その時一人の老婆が転ぶ様に駆けて来た。季好の歳老いた母であった。「お止め、季好。その馬だけはお止し。」そんな事で諦める季好ではなかった。T黒龍Uをしとめる為に、従来の持ち馬に跨がり「えいっ。」とばかりに一鞭当てると、T黒龍Uを追い掛け始めた。「お止し、季好。」母の悲鳴を他所に、ひたすらT黒龍Uを追い続ける季好であった。T黒龍Uは街を抜けると、其の先の長城に向かった。季好は全てを忘れて、追い掛けて行く。到頭T黒龍Uは万里の長城と云う此の世で一番長い城に沿って走り始めた。その時になって季好はハッと胸騒ぎを覚えてた。「此の馬は一体何処まで行くのであろうか。」しかし、馬は五里進んでも、十里進んでも止まらない。T黒龍Uは中々音をあげなかった。街を離れて五十里程の処まで来ると到頭、季好の馬は疲れ果てて倒れてしまった。T黒龍Uはと云うと後ろも見ずに更に北の果てを目指して駆けて行く。此処はもう草一つ生えない砂漠であった。暑い暑い、熱風の中、季好は只々、考えも無く走って来た事を悔いた。耳の奥で母の嘆く声を聞いた。「季好お止し、帰っておいで。」いつの間にか季好は熱い砂の上で眠ってしまった。ふと、気が着くと陽はとうに暮れて、満月が煌々と輝いていた。その時傍らに一人の男が立っていた。「季好、どうした。」季好は驚いた「あなたは。」「そうじゃ、儂は馬商人じゃ。人間と云うものは、考え無しに動くと身を滅ぼすぞ。」「あなた様は。」「名はどうでも良い。お前は此れからどうするのか。」暫くして「分りません。」(どうしましよう。此処まで書いて、後の展開に困り果てました。Help.me.まあ、気長に行きましょう。続きをお楽しみに。でも続きはないかも。)

エーゲ海のある小島。一人も人間の住んでいない小さな島に、三人の娘が住んでいました。人のいない島に三人の娘?と驚きのみなさん。それは三人のサイレンの事です。毎日黄金色の朝日に目覚め、茜色の夕日の沈むを眺めては、仲良く暮していました。しかし、こんな退屈な日々を八十年も過ごすと、いくらサイレンでも、いいかげんにうんざりして参ります。ある嵐の晩、島の近くを通り過ぎようとしていた一隻の帆掛け船が、波を避けて入り江に錨を下ろしました。この様子を三人はじっと見ておりました。外海は大変な嵐ですが、島の入り江は至って静かでした。船の上では見張りの男が「おーい、この分だと明日の朝は出られるぞ。」若い逞しい男が「そうだな。早く丘に帰りたいよ。」そんな会話も三人には聞こえていました。三人の娘達は気晴らしに、あの若者を虜にしようと相談がまとまりました。やがて、嵐が去り、月がでました。若者がデッキで月を眺めていると。何処からともなく、麗しい歌声が聞こえて参りました。若もはうっとりして思わず、甲板から海の上に落ちそうになりました。しかしすんでの処で、見張りの男が助けてくれました。そうです、サイレンの歌声を聞いた者は、海に落ちて死ぬと云います。まもなく船室にはいった若者は寝静まりました。すると深夜また麗しい歌声が聞こえて参りました。その美しい歌声に若者は、絶え切れず外の甲板に出てしまいました。その若者の顔を月の光が照らし出しました。余りにも素敵な若者の魅力に八十年間孤島に住み着いたサイレンは心を惹かれ思わず恋をしてしまいました。その瞬間三人のサイレンの心と身体は三色の美しい泡になって消えてしまいました。泡は静かに天に向かって流れ月の光の中へ消えて行きました。「おしまい」

つい乗っちゃいました。

陸奥の國の山間に“三郎”と云う男が居た。毎日野山に分け入って、雉や、野鳩、猪などを捕まえては市へ出かけ、生計を立てて居た。ある日、奥深い山中で道を見失い、途方に暮れてしまた。遠くから水音が聞こえるので、それを便りに歩いて行くと、大きな見た事も無い滝が、水煙を上げていた。水煙に午後の明るい日ざしが当ると、実に見事な虹が現れて、この世のものとも思えない美しさであった。何かが動いた気配を感じて、思わず岩影に隠れた。すると其処へ美しい紅色に、身を飾った天女が羽衣を、そよがせながら舞い降りて来た。するともう一人の水色の衣服を身にまとった天女が大きく円を描きながら、舞い降りて来た。“三郎”が飽きずに眺めていると、続いて白い衣に身をまとった天女が、しずしずと舞い降りて来るのを見た。空からは数限りない天女が次から次へと舞い降りて来た。“三郎”が思わず吾に還って見回すと、そこら辺り一面は銀色の雪の世界であった。滝の前の広がりには大きな岩の塊があり、そこには一人の男が全身雪だるまの様になって、微動だにしない。“三郎”は寒さに身震いして見回すと先程の天女は、一人も見当たらなかった。その時郷の家では、誰も居ない古家が主の帰りを待って居た。“三郎”は延々と続く山の中をあてども無く歩き続けた。すると一匹の熊が横たわって居た。食い物が無くて、相当衰弱して居た。そこで“三郎”は思わず自分の獲物と弁当を分け与えた。熊はやや、元気をだして身ぶりで追て来るように示した。何の事であろと、“三郎”が追て行くと先程の滝の前であった。そこには大きな岩があって、矢張り一人の男が雪だるまになって居た。熊はその男の雪を払うと、全身で包み込み温め始めた。やがて、“三郎”は雪の中でふと、目を醒ました。

深川に五郎平長家という“むさい”住処が有りましたそうで。そのどん詰まりにお武家様で、斉藤長次郎とか申されるお方が住んでました。昔はそれは、相当な扶持を戴き、それなりのお屋敷にお住いだったそうで。今は哀しき長家住まい。しかし、我々下々は一生、哀しき長家住まい。ま、こっちは、ちっとも哀しくなんざありやせんでして。で、どのような事で生計を立てて居られるかと申しますと。良く有る傘貼り浪人でして。朝から雨降りで、天気の悪そうな、また一雨ありそうな日とかが最も良い日和だそうで。雨の日は空気に湿り気がある。雨の日に貼ると、晴れの日にぱりっと仕上がる。逆に晴れの日に貼ると、雨の日によれよれ、と誠に具合が悪いそうで。さてこのご浪人、何が楽しみかと申しますと、昼過ぎに一仕事終えますと、ぶらぶら表にでる。「おや、斉藤さまお出かけで。」「いや何、ちょっとそこまで野暮用でござる。」と云いながら、二つ程離れた町の魚金の前、きょろきょろと周りを見回すと。「ごめん。」「へいっつ。いらっしぇい。何にしましょ。」妙に照れがあって、買うのにぐずぐずしません。「それ、その台の上の、その魚は何じゃ。」「これですかい。これは、ご覧の通り鯉でして。」「あらいが、旨いのう。」「へい、そうでがす。」「よし、買うぞ。」「ありがとうござい。」商売人はこういう客が一番簡単でして、ご夫人方に良くある、「こっちにしようかしら。いや、こっちがいいわ。」なんてやってたら、陽が暮れちゃう。てな訳でして。店を出ると当のご浪人、あっち見、こっち見て敵は居ないかてな訳で。身を翻すと、疾風の様に自慢の足で、たたたたたたた、と長家まで一走り。「あら、嫌だ。長家の奥のお侍さん又走ってるわ。」「ごらん、傘貼りの長さん、また凄い勢いだねえ。」本人は気付かれない様にと思っていますが。「あんなに走らなくても、独りもんが、自炊すんのはあたりめいじゃないかい。」とっくの昔に世間はお見通しです。男子厨房に何とか申しますが、これが又お好きな方も多いのは確かの様で。当の長次郎さん、ハアハア云いながら、今日も良い肴を手に入れたと、早速包丁さばき。これがまた中々上手なもんで。「さーっ」「さーっ」「さーっ」「さーっ」でも長年の一人住まい。いくら腕が良くても、一人じゃ詰まらないもんでして。何か同好の仲間は居ないかと、今でしたらインターネットで、モニター見ながら検索。でしょうが、実は今日寄り合いが有りまして、旧藩の浪人仲間が、集う事になってまして、気になるのは、集合場所が三田は泉岳寺の木田様のお屋敷。集合時間になると各々思い思いの獲物を引っさげて、今風に云えば料理教室か、料理自慢サロン。入口の格子戸へ近付くと。「塩」とくれば「酢」「各々方、今宵は御存分に。」鬼気迫る迫力に、勘違いした捕り方が「ぴー、ぴー。」「何事でござる。」「あれは、忠臣蔵?」「いや、儂等は、おいしく喰らうじゃ。」

むかしむかし、鳳来國の隣國のある処に一人の若者がいた。元気な七頭の牛を飼っていた。働き者で毎日良く世話をしていた。ある日旅の商人が通りかかり、「いやあ、この牛は実に立派じゃ。特にこの角、これを都で売りたい。ものは相談じゃが、この牛の角を一両で譲ってくれ。良い商いになる。」一両と聞いて、若者の胸は踊った。“牛を殺すでなし、角を切るくらいなら良いじゃろう。”そう考えると若者は、一番立派な牛を捕まえて、いやがる牛の角を切ったものじゃ。すると又ある日、例の商人がやって来た。「いやあ、この牛は実に立派じゃ。特にこの角、これを都で売りたい。ものは相談じゃが、この牛の角を一両で譲ってくれ。良い商いになる。」一両と聞いて、若者の胸は踊った。“牛を殺すでなし、角を切るくらいなら良いじゃろう。”そう考えると若者は、二番目に立派な牛を捕まえて、いやがる牛の角を切ったものじゃ。やがて若者は働きもせずに、牛の角を切っては景気の良い暮らしを続けて居た。さて毎日毎日友人を招待しては饗宴を続けている内に気付くと、あんなにあった財物を失ってしまった事に気付いた。慌てて若者は牛小屋に行ってみると、哀れ、七頭の牛は骸となっていた。その後の若者の音沙汰は聞かない。という話は面白いでしょうか。
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