気の早いクリスマスキャロル   
むかし、むかし。あるサイトに《気の早いクリスマスキャロル》と云う物語集が有りました。作者はこのサイトが大気に入りで、沢山のクリスマス向けのお話を集めました。しばらくして、創作活動に夢中だった作者は、このサイトが閉鎖される事に気付きませんでした。突然《気の早いクリスマスキャロル》は無くなり、作者は仰天。しかし「そうだ、又始めれば良いじゃないか。」と《気の早いクリスマスキャロル》は再開する事に成りました。
目出たし、目出たし。準じ修正いたします。最新作今入荷しました!!

中仙堂MORE 毎日暑く成りますね渚にてご共感いただければ嬉しいのですが

気の早いクリスマスキャロル一

冷たい石畳みの路地に、小さな男の子と女の子が立っていました。街は行き交う人々で溢れています。「おやおや寒そうに、坊や達どうしたの、こんな所で。」買物帰りの奥さんが、思わず足を止めました。空からは綿の実のような、ふっくらした雪が落ちてきます。「あら、やだ。人形じゃないの。でも誰がこんな所に置いて行ったのかしら。」お店の小父さんに聞いても分りません。「そうだ、お巡りさんに聞いてみましょう。」奥さんは重たい人形を抱えて、警察署に行きました。ところが警察では、クリスマスで大賑わい。それどころじゃありません。「良いから、持って行きなさい。」奥さんは「そうだ、持って帰ろう。」とぼとぼと、家路を急いで帰る道、大事な荷物を警察に置きわすれてきました。「あら、大事なクリスマスの御買い物。」荷物を受け取り、思わず小さな手を二つ握って、夢中で帰って来ました。外はもう暗い夜道で、お家では旦那様が表に灯りを出して待っていてくれました。「おおい、おまえ。その子供達は、どうしたんだい。」奥さんは思わず握りしめた、二つの温かい手を見つめました。しばらく無言の奥さんは、熱い涙を流して云いました。「かみさま。子供をありがとう。」勿論二人には初めての子供でした。(念の為申しますが、奥さんが人形と本物の子供を間違えて帰った訳ではありません。)こんな話があっても良いよね。

楽園

或男が天に召された。その魂はそよ風に吹かれるように、しずしずと天上に昇っていった。遥か高い雲の上に着くと、一面真白で清浄な世界だった。ふと見ると視野の先に立派な門が現れた。呼鈴を鳴らすと「何の用じゃ。」思わず男は(何の用かは知れた事。)と思っていると、間もなく門は開いて、白髪の翁が出て来た。「最近此処へ来る者は少ない。」「それは又何で?」「知って居るじゃろう。オゾン層破壊で住み難くてのう…。」翁は哀しそうな顔をして「皆天上を避けて。他所へ行く様じゃ。下は賑やからしい。」そんな話は嘘に決まっていますが、最後の楽園はとって措きたいもの。環境を守りましょう。

「いそがなくちゃ。」
一匹の小ネズミが、ちょろちょろ。
「いそがなくちゃ。」大きな木の実をえっちら、おっちら。
坂道も岩の割れ目も、何のその。
すると一匹のしまりすが、
「ネズミくん、どうしたんだい。」
気付いた小ネズミは「それが大変なのさ、ネズミ社会でも、あすはクリスマスなんだよ。
サンタさんにプレゼントの木の実をたくさん、頼まれていたのに、
まだ足りない分があったんだよ。」
「そりゃ、本当に大変だ。では私もお手伝いしましょ。」
二匹は大忙しで山を越えて、とうとうサンタさんの家につきました。
「おや、二匹とも、どうしたんだい。」
サンタさんが、まだ居ました。
「あら、サンタさん、今日はお出かけでしょ。」
「あっはっはっはっはっは。小ネズミさん、今年も一日まちがえたよ。イヴは明日だよ。」で
も、間に合ってよかった。

ねずみ色の空を見上げれば、白い妖精たちが舞いおりてきます。ふと、目を落とすと一面まっ白な雪野原が、こんもりと盛り上がって居ます。小さい方を見ると黒い目が、ぱっちりと開きました。
大きいほうは、お腹でしょうか。すぐ近くに居た子リスが近付くと、ムックリと起き上がりました。
「リス君、こんにちは。」さあ、誰でしょう。
そう、愉快なスノーマンの誕生です。小雪舞う丘の上には古い教会があり、その時鐘が鳴りました。
「ああ、お腹が空いた。」
スノウマンは両手一杯に、真っ白な雪をかき集め食べました。池の氷水を旨そうに
「ごくり、ごくり。ぱ〜っ」
満足そうに微笑むと柔らかい良く冷え切った雪のベッドで眠りました。
「ううっいいな〜。冷えそう。」

其れは雪の吹雪く寒い夜でした。北国アイスランド島にゼロと云う一匹の狼が居ました。吹雪に閉ざされた日は雪の洞くつで、嵐の過ぎるのを一匹だけでじっと待つのです。
寂しくなった時、雪穴から這い出し、
「オ〜〜〜〜。ゥオ〜〜〜〜オ〜〜〜〜。」
と叫ぶのでした。
此の北の大地で狼達は、こうして仲間と連絡するのでした。或日もゼロは暖かい洞くつで、う
たた寝をして居ると、仲間からの定期便が聞こえました。
「オ〜〜〜〜。ゥオ〜〜〜〜。」
其れは其れは悲しそうな声でした。
「あっ、お母さんが哭いている。お腹が空いて居るんだ。」
ゼロは決心しました。雪穴の奥にしまっておいた大きな生肉を、がぶりとくわえると、暗く寒い嵐の中へ這い出しました。外はものすごい嵐。
でもゼロは怯みません。
「お母さんが呼んで居るんだ。」
寒い寒い吹雪。大あらしの中へふみ出したゼロは、風に吹かれて転げ回り、口にくわえて居た生肉を思わず、ぽとりと落としてしまいました。
「あっ、いけない。」
ふたたびゼロは生肉をくわえると、歩き出しました。お母さんの居る所は遠く道は暗いです。だんだんゼロはお腹が空いて来ました。
口にくわえた生肉は、とても良い匂いがします。
でもゼロはじっと我慢をして歩きます。長く歩いて居る内に、ゼロのだ液は寒さで凍り、生肉が口にへばり付きます。
「ああ、冷たい。」
ゼロはようやくお母さんの待つ雪穴を見つけ、お母さんの暖かい巣へたどり着きました。
「ゼロや。ありがとう。」
足をくじいた母狼は、懐かしいゼロの体をなめ回し、喜んでくれました。

「光の国」の正太くんには、お父さんも、お母さんも居ません。
可愛い妹も、弟、優しいお兄ちゃん、お姉ちゃんも居ません。
毎年暮れになると其れはもう、寂しいです。
「ちえっ、クリスマスなんて…。」
そんな或日、園長先生が正太君を呼んで云いました。
「正太くん。もう直ぐクリスマスね。」
正太君は横を向いてプイッ。
「ねえ、正太君、今年のクリスマスには、サンタさんのプレゼントは、何が好いかしら。」「……。」
「欲しいものは無いの?」
「……。」
本当は園長先生は知って居ました。正太君が本当は何が欲しいか。
毎日少しづつ北風が激しく冷たくなり、とうとう今日は雪が降りそうです。
「正太君園長先生が呼んでいるわよ。」
園長室に正太君が行くと、知らない人がにこにこ笑っていました。
「正太君、今日は何の日。」
「クリスマス…。」
「今日はね、サンタさんが正太君に素敵なプレゼントを用意した
のよ。」
「……。」
「正太
気の早いクリスマスキャ ロル.09
高い高い空の上へ昇ると周りは次第に蒼味を増して、昼間なのにあちらにも、こちらにも星が輝き出すのです。「あっ、流れ星だ。」遠くへ目をやると、五十メートル位の小さな星が見えました。サファイヤの大きな塊でしょうか。星の上に男の子が手を振って居ます。「お〜〜いサファイヤ君元気かね。」男の子はにこりと微笑みました。「あっ、セント・ニクラウス様。ご機嫌よう。今年もお出かけですか。」「明日は愈々イヴじゃからな。」「もう、そんな季節ですね。」「ほら、此れは君への贈り物だよ。」「えっ、誰からだろう。」「ルビー星のルビー姫からじゃ。」「あっ、紅いペンダント。」「お似合いだね。」「ありがとうセント・ニクラウス様。」「元気でな。」
気の早いクリスマスキ ャロル.005
北の国では早々と白い綿帽子が舞い降りて来たロビンは待ち遠しくて仕方が無いのでしょう。「未だかな、はやく来ないかなぁ。ねえ、おとうさん。」何かって、其れはお出かけ。「あ〜。御主人さま。未だかなぁ。」 「はっはっはっはっは。ロビンや、辛抱おし。」「お前もとうとう、そんな年になったんだねぇ。おとうさん。」「だって、ぼくは、初めてなんだよ。クリスマスまで、あと何日?」微笑みながら。「あと一週間ですよ。」「待切れない〜。」「しょうがない子ね。」「でも、大変な事なんですよ。だって世界中の子供達が、私達を待っているのよ。」「そうだ。まあ、早く寝なさい。」外は又時間が止まった様に吹雪いてます。 「ぼく、眠れない。」……………………………外では、ごうっと風が唸ります。「息子は寝たかい。」「 ええ。」……ぼく、赤はな三世。今年からいよいよ現役宜しく。

気の早いクリスマスキャロル
昔こんな話を思い付くまま書き止めました。その続きです。
この日は朝から雪が降り続いていました。遥か北の國のこの街では、何処の家でもみな、家を浄めツリーを飾りつけては、久々のサンタさんの来るのを待っています。外では子供達が雪を集めて、家を作ったり、アーチを作ったりして遊んでいます。街の外れに大きな水車小屋が有りました。小屋の周りは寂れて、ひとっこ一人居ません。おや、窓から灯りが見えました。誰か居るのでしょうか。居ましたよ。三人の魔女が。大きな魔女がゲーラ、太った魔女がリノ、ちびっ子の魔女がセラ。みんな不機嫌な顔をしていますよ。「なんてこったい。到頭今日の日がやって来たよ。」「お目出度く無いね。」「そんな事お言いで無いよ。人間達の年一回のお楽しみじゃないか。」その時。「ねえ、何か聞こえなかったかい。」「風の音だろう。」「歳だねえ、聞き違いだよ。」「いや、そうだよ。何か聞こえるよ。」三人は良く耳を済ましてみました。「こっちだよ」ゲーラが小屋を飛び出しました。「おっと忘れ物」そう、箒を忘れちゃいけません。三人は箒に跨がるとあちこち、雪の降る中を飛び回りました。「あれだよ、あれ。」セラが見つけました。それは何かと言うと、街はずれの倉庫の軒下に、一個のバスケットが置いてありました。「何だ、人間の子じゃないか。放っとこ。」「そりゃ、ないよ。いくら魔女だって人間の時のハートのかけらが少しは残っているだろ。」「そりゃそうだよ。いつ人間に戻れるか。最後の望みの綱さ。」「ま、可愛いじゃない。」「そうね。」「連れて帰ろう。」三人は赤ん坊をバスケットごと抱えると、街はずれの水車小屋へと運んで行きました。三人は赤ん坊にミルクをやるやら、着替えをさせるやら大忙し。とうとうその日の十二時になりました。「ああっ。」リノどうしたのだい。「何か胸が張り裂けそう。」するとゲーラもセラも三人とも体が変です。「胸が苦しい。」「助けて。」その時暗い水車小屋の上の方から明るい光が差して来ました。「お前達の
優しい心のせいだよ。」「今、お前達の望みが叶ったのだ」「人間に戻ったのだよ。」朝になりました。水車小屋は跡形もなく消え、そこには小さな農場が三軒並んでいました。夕べの事は三人の魔女。いや三人へのプレゼントだったのでしょうか。

《と、此処までは世間に良くある話でして、》
三人の魔女の切なる願いは突然叶い、真人間になれました。しかし、人間社会はそう単純には出来て居ませんでした。三人は人間になれ、大喜びでした。そこで、村の人も呼んでお祝のパーティを行いました。其処までは良かったのです。三人には小さな農場と家を与えられ、喜びの数日がすぎました。処が元魔女にとって、人間らしい暮らしは堪え難いものでした。三人に授かった赤ん坊は、それはもう、元気で良く育ちました。しかし其の育児の世話は、三人にとって並み大抵の事では無かったのです。さらに大変なのは子育てに夢中になって居る内に、農場は草ぼうぼう、誰も手入れをしないので、元の荒れ野に戻ってしまいました。おしまい。「ちょっと待ってくれよ、そんな筈は無いだろう。其処を何とかして呉れるのが神様だろう。」…………………
あ、新しい情報が入りました。
三人は荒れ果てた農場の井戸端で、額を寄せあって云いました。「もう、人間を辞めようか。」「……。」三人は泣き暮らしました。三人遠くを眺めながら黙然として居ますと。「人だ、誰だろう。」一人の旅人でした。長い衣を纏い、髪と鬚を長く伸ばしていました。それは若い爽やかな表情をして、人の魂を読み尽くす様な、吸い込まれる様な目でした。行者でしょうか。ふと、三人に気付かれ、近付いて来ました。「其処の井戸の水を一杯くれんかね。」「………。」一人が無言で水を汲み、捧げました。「ありがとう。何か悩んで居るらしい。」「あの…。突然ですが。聞いて下さい。」「云ってごらんなさい。」「私たち三人は、昔、三人の魔女でした。でも、人間に成りたくて、或時神様に願いを叶えられ、漸く人間になれたのです。」旅人は、にこりと笑うと「それは良かった。」「でも、本当に人間に成る為には、其れだけでは駄目でした。」「其れで…。」「私たち三人はどうしたら良いのでしょうか。お救い下さい。」すると旅人は云いました。「はっはっは。何も悩む事は無いでしょう。既に人間なのだから、其れに感謝しなさい。」「子を育み、額に汗して田畑を耕す事は、とても愉しい事だと知りなさい。それは苦を超えなければ分かりません。」「体を使い、愛情を注ぎ、知恵を働かせなさい。」「きっと、充たされるであろう。」太陽は暑い日射しを燦々と投げかけて来ました。旧い井戸端の木陰で、三人は眼を醒ましました。

気の早いクリスマスキャロル05
東のそらが、やや白んで来るころ、独り疲れ果てて、やって来る人が居た。「どうしました。」「……。」「お連れはどちら様で。」くるりと振り向くと、立派な角を生やした生き物に声をかけた。「ぽち、いや、赤鼻くん。ご苦労だったね。」此れも疲れた足を引きずる様に、「いつもの事です。」「しかしだね。儂が十五年過労で引っ込んで居る内に、世間は随分遣り難くなったもんじゃ。」隣のトナカイが小父さんの肩を労る様に「ま、元気に来年も頑張りましょう。」二人の様子にそれとなく察した私は「ああ、サンタさんね。」「そう。」「暫く来ない内に煙突が減ったね。」「そうそう。」「最近はドアもオートロック」「窓も二重ロック。せちがらいね〜。」「一体どこから入ったらいいんじゃ。」「プレゼントの山じゃ。…」「ま、気を落さず。」「皆さんそんな訳でこのサンタさんと、トナカイさんは本物だと云う訳で、皆さんに今日はお裾分けと云う事です。」皆喜んだのなんの。
十歳の少女けいはベッドの中でした。或日けいはお母さんと約束をしました。早く元気になったらピアノを弾かせてくれると。ピアノは、けいの夢でした。「けい。お医者さまですよ。」三日に一度お医者さまのケント先生がやって来ます。「お早う、けい。」「お早う、ケント先生。」「元気かい。ちょっと熱を計ろうね。」その時、けいは「ねえ、先生。私、いつになったらピアノを弾けるの。」「……。そうだね。早く元気になろうね。」「いつもの先生の答えでした。」やがて秋になりました。最近のけいは、独りベッドで祈って居ます。「神様どうか私にピアノを弾かせて下さい。」戸のすきまから、お母さんは、けいの祈りを聞いて居ました。「神様どうかあの子にピアノが弾ける日が来る事をお願いします。」やがて十二月になりました。ある晩けいが寝て居ると、窓から金色の月の光が差し込んできました。「けい、起きなさい。」けいが、驚いて起き上がると、金色の光に包まれた天の使いでした。「あなたは…。」「ピアノの精マイエル。」さあ、こちらへお出で。「ピアノを練習しなくちゃ。」「えっ。良いんですか。本当ですか。」「もちろんですとも。」マイエルはにっこりと微笑んだ。「今夜は『ノクターン』の練習ですよ。さあ。教則本を広げて」「でも、私弾いた事無いんでもの。」するとマイエルは「何も覚えてないのね。」いつも貴女は夢の中で弾いているじゃない。けいは、恐る恐る鍵盤に手を近付けると、何とピアノのキーの上を両手の指が踊り出すじゃ有りませんか。「さあ、『ノクターン』の始まり。」さて、けいは夢中で弾きました。ピアノの音色は透明で、七色の色彩を放ち、部屋中に響き渡りました。奥の部屋に寝て居た、けいのお母さんは驚きました。でも何よりも驚いたのは、けい自身でした。あんな夢だったピアノが、しかも大好きな『ノクターン』が、こんな素晴らしい音色で弾けるなんて。いよいよ、最後の章になり、余韻を残しながら、ピアノは鳴り止みました。其の日は十二月二十四日。そう、クリスマスのイヴの晩でした。あんなに幸せそうな、けい。今でも生きているような薔薇色の頬。あ、どこか、聞こえます。クリスマスキャロルが。こんなプレゼントもありました。
気の早いクリスマスキャロル.その13-01
ある日の午後街の外れにある坂道をお婆ちゃんが、荷車をたいへんそうに、ひいていました。「よいしょ、こらしょ。」「よいしょ、こらしょ。」そこへ通りかかったのは、スノウマンでした。「ねえ、手伝おうか。」するとおお婆ちゃん、スノウマンをじろりと眺め。「いらんよ!」ああ、繊細なハートを持ったスノウマンは、もう、何も言えません。がっくりと両肩を落とし、(30センチ位かな。)とぼとぼ、紅い夕日を背に帰るのでした。ところが…お婆ちゃんは、内心(悪い事を云ったと、痛く反省し)「ご免よ、スノウマン。助けておくれ。」さあ、スノウマンの喜んだの、なんのって。汗水垂らして「えっさかほい。えっさかほい。」ところがスノウマンは何か大切な事を忘れていました。そうです。スノウマンの体は雪、つまりじゃ、成分はH2Oだっったんじゃ。「こりゃ、えらいこっちゃ。」スノウマンは何か、いつもと違うのを感じました。「何だろう。」そして、あしたあり、夕べありき。お休みなさい。

気の早いクリスマスキャロル

真っ暗な箱の蓋が開くと外は寒い冬。「うわ〜冷たい。」すると中からこんな声がした。「君は何者かね。」「儂かね、儂は決まって居るじゃろう。こんなに緑で活き活きしとる、樅の木じゃよ。」「ふ〜ん。で、俺は。」「何だい君は自分の事を知らないのかね。」回りには金銀の星や、動物のオーナメント、サンタ人形。坊やの玩具が一杯。「君の名は蝋燭だよ。」「ふ〜ん。で何をしたら良いの。」周りのもの達に。「何にも知らないらしい。」「はっはっはっはっは」樅の木はとても可笑しそうに笑った。「何もしなくて良いのさ。」「ふ〜ん。」兵隊人形が云った。「後で分かるよ。」赤いクルミ割り人形が悲しそうに云いました。「貴方はイヴの今夜、火を灯されるのよ。」蛙の人形が云いました。「すると、二時間位で燃え尽きるのさ。」すると蝋燭は真っ白い顔をして、透明な涙をすーっと一筋流しました。「さっき箱から出たばかりなのに二時間位で燃え尽きるのだよ。」むく犬の縫いぐるみが云いました。すると蝋燭は益々青白い顔をして又、すーっと涙を流しました。其の時ばたんとドアが開き、男の子と女の子が入って来ました。「わ〜い。クリスマスだ、イヴだ。」楽しそうな音楽が流れます。お母さんが、おいしそうな料理を並べます。でも独り蝋燭だけは泣いています。「では火を灯してちょうだい。」蝋燭はお父さんの手で火が付けられ、高い高い樅の木のてっぺんに灯されました。「メリークリスマス。」さっきまで泣いて居た蝋燭は部屋中を照らして、輝いています。歌が流れ、祈りの言葉があり、一番大切な日が終わろうとしています。外では、ごうと風が鳴り、時々粉雪が舞い上がります。

気の早いクリスマスキャ ロル.15
公園ではM-18が独り清掃をしていました。
するとR-25が近づいてきて、ちょこちょこ手際良く手助けをしてくれました。
昼になると近くのオフィスから、わいがやと、OL達がお弁当を抱えてやって来ます。
「寒くなって来たわね。」
と云いながら、日溜まりは彼女達の特等席です。
M-18は横目に見ながらせっせと作業を続けました。
「良いですね。楽しそうですね。」
R-25も
「ホントデスネ(ロボットモードです)」
と云った。
「我々なんかいつまで働いても腹なんか減らないし。」
「瓦斯欠やオイル漏れはあるけど。」
「人間ニナッテミテイ。」
やがて夕方になりました。公園の外れにはシャッターの付いた、清掃ロボットのターミナ
ルが有りました。
その近くでM-18は半壊したロボットを見つけました。
「ロボット、発見。」M-18は半壊したロボットを見ると、ロボットの足が1本取れていました。
M-18はおもむろに、収納スペースから、工具を取り出すと、自分の足を外し始めました。
すると、相手のロボットは、驚いて
「キミノアシヲハズシタラコマルダロウ。」
「なに、俺は八本足走行のロボットだから、一本位無くても大丈夫。」
すると相手のロボットは視覚センサーの穴から、金色のオイルをぼろぼろこぼして云いました。
「アリガトウキョウダイ。」
もうすぐ先にM-18は半壊したロボットを見つけました。
「ロボット、発見。」
M-18は半壊したロボットを見ると、ロボットの足が1本取れていました。
M-18はおもむろに、収納スペースから、工具を取り出すと、自分の足を外し始めました。
すると、相手のロボットは、驚いて
「キミノアシヲハズシタラコマルダロウ。」
「なに、俺は八本足走行のロボットだから、二本位無くても大丈夫。」
すると相手のロボットは視覚センサーの穴から、金色のオイルをぼろぼろこぼして云いました。
「アリガトウキョウダイ。」
其の一部始終を見ていたのが何を隠そう。
赤い服のサンタさんでした。
「こちらサンタ。神様如何いたしましょう。どうぞ。」
「中々そんなロボットは居ない。願いを聞こう。」
そう言う訳でサンタさんはM-18の願いを、かなえる事にしました。
するとM-18は大変恐縮して、
「私にはターミナルにスペアが沢山あります。」
と辞退しました。
余りにも欲のない事に神様は感激し、M-18の・チップ・を天に持帰られ末永く掲
げられたという。
でも此の話は不謹慎だったでし
ょうか。

『大南極物語り』

南極大陸では、此れからが長い長い冬です。 ペンギンの「サイトウ君」は暗黒の空に輝くオーロラを見つめながら、又あの辛い季節がやって来た事を知りました。「サイトウ君」達ペンギンは、厚い氷に閉ざされる冬に備えて、喰い溜をします。「う〜〜い。少し喰い過ぎたかな。」冬になるともう、海に入って魚を捕らえる事は出来ません。食べ物の無い冬をどうして過ごしたらいいんでしょう。「よし、行こう。」ペンギンの「サイトウ君」は潔く立ち上がりました。矢張り男の子でした。彼等は氷りの大地の反対側目指して歩き始めました。するとペンギンの「山田君」も「田中さん」も「加藤さん」も歩き出しました。「いよいよですな。」「そうですな。」終いに「…。」只、黙々と歩きます。何千羽ものタキシードの群れが、オーロラの下を行列です。しかも、来る日も、来る日も、夜やら、昼やら、判りません。只ペンギンの「サイトウ君」達は約束の地へ向いました。もう、可成り歩いて、腰は引いて、顎も引いて、くたくた。もう歩けません。その時。「あっ。パラダイスだ。」そう、です南極のペンギン達のパラダイスにやって来たんです。「そうれっ。」此処は南極唯一の、冬でも魚の捕れるパラダイス。さて、こちらは南極の魚の「南君」「加賀君」「真田さん」達。慌てたのなんの。「悪鬼のペンギン共がやって来た。」もう、問答無用。争乱の時がやって来ました。到頭腹一杯に満たされたペンギンの「サイトウ君」達は懐かしい妻子の待つ、遠い故郷へ帰路に着くのでありました。良かったねペンギンの「サイトウ君」これからどうするのかって。長い旅路を踏破した「サイトウ君」達は、妻子達に、お腹の魚達を、戻して食べさせるのです。「さあ、喰った、喰った。」と全部腹の中で消化したら、もう、家庭争議の始まりです。因にペンギンさんの世界に、「にーと」さんは居ないそうです。みんながんばろうぜ。

『こおろぎ君の鳴く訳』

秋の夜でした。月が草原を金色に染め上げて居ました。
草むらの中からは、もう遅い秋の夜長を集く虫の声で一杯でした。
町外れの家から青年が出て来ました。明るい月の光に誘われて一人そぞろ歩いて居ると、
一匹の蟋蟀が居ました。
「今晩は、アンデルセンさん。」
「おや、わたしの名前を知って居るのかい。」
「そりゃ、知って居ますとも。私たち蟋蟀仲間で、あなたを知らない者は居ませんよ。」
すると青年は可笑しそうに。
「そうかい。それは嬉しいね。」
そして
「何かこのごろ、素敵な話は無かったかい。」
すると蟋蟀は
「そうだね、昔ね。」
「うん。昔ね。」
「きれいなお花畑があった。」
「沢山の赤い花、青い花、黄色い花?」
「そう、もう、素敵なんだよ。」
「その花畑に一人の可愛い女の子が住んで居た。」
蟋蟀は驚いた。
「ええっ。どうして知ってるの」
「それはね、さっき別の蟋蟀君に聞いたのさ。」
蟋蟀は両肩を落とし、(1センチ位かな。)
がっかりして居ました。
青年はそれを見て。
「まあ、がっかりする事は無いよ。まだ有るだろう。」
すると蟋蟀は、はっと思い付いた。
「港の見える町の丘に…」
「今度はどんなだろう。」
「一人の王子様が居ました。」
「ん、これも聞いた事があるぞ。」
蟋蟀は其れを聞くと鳴き出してしまいました。
「コウロ、コロコロ。」
「其れから蟋蟀君達は、あっちでもコロコロ。と鳴く様になりました。」

『七月の或日』

七月のある未明の朝、ジム少年は異常な物音で目覚めた。その時窓から遥か上空より真っ赤な火の玉が落下して来るのが見えた。ドッカーンと云う爆発音と共に真白な閃光が走った。ジム少年はベットから飛び降りると、両親の部屋へ行った。しかし昨夜は特別な日で両親の結婚記念日で、二人は帰らない事になっていた。「ママー。」昨夜の両親との約束を思い出したジム少年は、仕方なく上着を着て外へ出てみた。町外れのジム少年の家からは森が見えた。その森の切れ目の草地に何か大きな物が、墜落した様であった。恐る恐る近づいて見ると、何と二本足で歩く無気味なエイリアンがあちこちを探査していた。思わず目に入ったエイリアンの宇宙服の胸に奇妙な文字が記されていた。シャープな線で『NASA』。

『気の早いクリスマスキャロル.6』


雪の降り続く或日の午後、女の子ジェノは森の小道で足を挫いているお婆さんを見つけました。「お婆さんどうしたの。」「芝を集めに森に入ったら、足を挫いてね」助け起すと、近くの小屋で介抱して上げました。ジェノの優しい心づかいにお婆さんは涙ぐみました。「有難うよ。お礼に是をあげよう。」と云って何でも願いを叶えて呉れる手袋を呉れました。実はサンタさんの奥様だったのです。
さて、どうしましょう。「願いは一杯有るわ。まず、世界の平和なんかどうかしら。」するとお婆さんは云いました。「それは無茶と云うもの。その手袋は、お前のその善意に反応するセンサーが付いて居るのだよ。全世界の人々が、善意に満たされれば、そんな手袋なんか不用さ。」「サンタさんの奥様、私この手袋今はいらない。誰か困っている人にあげてください。」「そうかい。私はもう大丈夫だからもう、お行き。」「はい。サンタさんの奥様。」

『或晩の事』

秋の夜でした。月が草原を金色に染め上げて居ました。
草むらの中からは、もう遅い秋の夜長を集く虫の声で一杯でした。
町外れの家から青年が出て来ました。明るい月の光に誘われて一人そぞろ歩いて居ると、
一匹の蟋蟀が居ました。
「今晩は、アンデルセンさん。」
「おや、わたしの名前を知って居るのかい。」
「そりゃ、知って居ますとも。私たち蟋蟀仲間で、あなたを知らない者は居ませんよ。」
すると青年は可笑しそうに。
「そうかい。それは嬉しいね。」
そして
「何かこのごろ、素敵な話は無かったかい。」
すると蟋蟀は
「そうだね、昔ね。」
「うん。昔ね。」
「きれいなお花畑があった。」
「沢山の赤い花、青い花、黄色い花?」
「そう、もう、素敵なんだよ。」
「その花畑に一人の可愛い女の子が住んで居た。」
蟋蟀は驚いた。
「ええっ。どうして知ってるの」
「それはね、さっき別の蟋蟀君に聞いたのさ。」
蟋蟀は両肩を落とし、(1センチ位かな。)
がっかりして居ました。
青年はそれを見て。
「まあ、がっかりする事は無いよ。まだ有るだろう。」
すると蟋蟀は、はっと思い付いた。
「港の見える町の丘に…」
「今度はどんなだろう。」
「一人の王子様が居ました。」
「ん、これも聞いた事があるぞ。」
蟋蟀は其れを聞くと泣き出してしまいました。
「コウロ、コロコロ。」
「其れから蟋蟀君達は、あっちでもコロコロ。と鳴く様になりました。」

『正夢』

アニーはさびしがりや、
毎日お仕事から帰ると、
一人食事をすませ読書をしては、
物思いにふけるのです。
お休み前には鏡を見ると、
鏡の中の自分を見つめ
「幸せのアニーお休み。」
そして眠ります。
春が来て、夏が来て。
秋。
アニーは秋が嫌いでした。
秋が過ぎると
独りぼっちのクリスマスが
やって来ます。
鏡の前に座ると
「幸せのアニーお休み。」
と今夜も
鏡の中の自分に語りかけます。
「おや、」
アニーは驚きました。
今の鏡の中のアニーは
いつものアニーと違いました。
にっこり笑うと、
とても幸せそうにしています。
じっと鏡の中をのぞいていたら
ドアが開いて、
「あっ。ジェームズだわ。」
鏡の中のアニーはジェームズと幸せそうに、
イヴの街へ出かけて行きました。
残されたアニーは泣きながら眠ってしまいました。
イヴが明けると、
とても清清しい朝でした。
相変わらず独りぼっちのアニーでしたが、
なぜか、今日は歌い出したくなるような朝でした。
すると玄関のドアがノックされました。
「誰かしら。」
アニーは驚いた
「やあ、アニー。」
それは大好きだったジェームズでした。

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